広告の運用担当者は、毎週・毎月のレポート作成に多くの時間を割いています。
媒体ごとの管理画面から数値を集め、前週比や前月比を計算し、成果が変わった理由を考えて報告書にまとめる。この作業に追われ、肝心の改善策の検討に時間を使えないことも少なくありません。
広告レポートの自動化というと、スプレッドシートやLooker Studio、専用ツールで集計を自動にする方法が一般的です。これに対して、ClaudeなどのAIに広告データを参照させれば、集計に加えて、要因の分析や考察、改善提案の下書きまでを任せられます。
さらに、レポートの型を決めて定期実行すれば、毎週のレポートが決まった時刻に自動で届くようになります。
本記事では、広告レポートを自動化する主な方法を比較したうえで、AI(Claude)で自動化する方法を次の3つのステップで解説します。週次レポートのプロンプトのテンプレートも公開しています。
- 広告データをClaudeから参照できるようにする
- プロジェクトとテンプレートで、レポートの型を決める
- スケジュールタスクで、定期的に実行する

Claudeが作成した週次広告レポート(デモ用のデータ)
広告レポートの作成に時間がかかる理由
レポートの作成に時間がかかるのは、集計と考察の両方を手作業で行っているためです。
まず、媒体ごとの管理画面を開き、広告費、表示回数、クリック、CV、CPA、売上、ROASなどを集計します。次に前週比や前月比を計算し、どの数値が良くなり、どの数値が悪くなったかを確認します。
時間がかかるのは、その後の考察です。たとえばCPAが悪化した場合でも、原因は1つではありません。
- 広告費が増えたのか、CVが減ったのか
- CPCが上がったのか、CVRが下がったのか
- 特定のキャンペーンに予算が偏ったのか
- 計測にずれが生じたのか
報告を受ける側が知りたいのは、数値の一覧ではなく、次の4点です。
- 今週・今月の成果はどうだったか
- 前週・前月と比べて何が変わったか
- CPAやROASが悪化した原因は何か
- 次に何を確認し、どの施策を優先すべきか
広告レポートの作成とは、数値をまとめる作業ではなく、意思決定できる状態に情報を整理する作業です。
広告レポートを自動化する方法の比較
広告レポートを自動化する方法には、主に次の4つがあります。自動化できる範囲が異なり、集計と可視化までを自動にするものと、AIのように考察や改善提案の下書きまで出せるものがあります。
| スプレッドシート+GAS | Looker Studio | 広告レポート専用ツール | AI(Claude+データ基盤) | |
|---|---|---|---|---|
| 導入の手間 | △ スクリプトの作成と保守が必要 |
○ Google広告・GA4は標準のコネクタで接続できる |
◎ 媒体を接続すれば使える |
△ データ基盤の構築が必要 |
| 費用感 | ◎ 追加のツールは不要 |
◎ 無料。Google以外の媒体のコネクタは有料の場合がある |
△ 月額の利用料がかかる |
△ Claudeの有料プランと、データ統合の費用がかかる |
| 複数の媒体の集約 | △ 媒体ごとに取得の処理を作る |
○ 媒体ごとにコネクタを用意する |
◎ 主要な媒体をまとめて扱える |
◎ 広告・GA4・CRMを横断できる |
| 分析・改善提案 | × 数値の集計まで |
△ 可視化まで。考察は人が書く |
△ 集計と可視化が中心 |
◎ 要因の分析と改善提案の下書きまで |
| 適した利用者 | 媒体が少なく、自分でスクリプトを書ける担当者 | 無料で集計と可視化を自動にしたいチーム | 多くの媒体・アカウントのレポートを効率よく作りたい代理店 | 考察と改善提案の作成まで効率化したい企業 |
◎:優れている ○:十分 △:制約がある ×:対応できない、または負担が大きい
集計と可視化だけを自動にするなら、スプレッドシートやLooker Studio、専用ツールで十分です。一方、レポートの作成で時間がかかる「前週から何が変わり、原因は何で、次に何をすべきか」を書く作業までを任せたい場合は、AIを使う方法が適しています。
すでにスプレッドシートで広告レポートを作っている場合は、シートの中でClaudeに集計や変化の確認を頼むこともできます(「Claudeをスプレッドシートで使う方法(別タブで開く)」)。ただし定期実行はできないため、毎週の自動化には後述の方法を使います。
無料で広告レポートを自動化するには
無料で始めるなら、Looker Studioが候補になります。2026年10月時点で、Looker Studio(2026年10月時点の名称は「データポータル」、英語名は Data Studio)は無料で利用でき、Google広告やGoogleアナリティクスにはGoogleが提供する無料のコネクタで接続できます。
Google以外の媒体のデータは、パートナーが提供するコミュニティコネクタで接続しますが、費用がかかる場合があります(データポータルのドキュメント(別タブで開く)、データソースについて(別タブで開く))。
AIによる考察は、Claudeの無料プランでも、レポートの前提をプロジェクトに設定し、テンプレートを使って手動で実行すれば試せます。定期実行に使うスケジュールタスクは、有料プランの機能です。
広告データの集め方
どの方法でも、複数の媒体のデータを毎日自動で集める仕組みが土台になります。
データウェアハウスを用意せずに、スプレッドシートやLooker Studio、AIへ広告データを自動で送るなら「Coupler.ioとは?できること・料金・使い方|AI連携も解説(別タブで開く)」、BigQueryなどに広告データを蓄積して横断的に分析するなら「Fivetranとは?広告データ統合でできること・料金・始め方(別タブで開く)」で、それぞれのツールの特徴を解説しています。
Claudeに任せられる作業と、人が判断すべきこと
Claudeに任せられるレポート作業
Claudeが得意とするのは、数値の整理、要因の分析、文章の作成です。
- 前週比・前月比の算出と、変化の要約
- 媒体別・キャンペーン別の成果の整理
- CPAやROASが悪化した要因の分解と、仮説の提示
- 考察のコメントや改善提案の下書き
たとえばCPAが悪化した場合は、「どの媒体の影響が大きいか」「CPCの上昇とCVRの低下のどちらが主な原因か」「費用への影響が大きい順に見ると、どこから手を付けるべきか」といった観点で整理させられます。
ROASの悪化も、売上の減少、広告費の増加、CVRの低下、購入単価の低下、計測のずれなどに分解して原因を探れます。
CPAとROASの分析方法は、「CPAとは?悪化の原因と改善方法(別タブで開く)」「ROASとは?悪化の原因と改善方法(別タブで開く)」で解説しています。
担当者が判断すべきこと
一方で、次の判断は人が行う必要があります。
- 予算を増やすか減らすかの最終判断
- 広告を停止するかどうかの判断
- 事業の方針や在庫の状況を踏まえた解釈
- 社内やクライアントに提出する内容の最終確認
Claudeは、運用担当者の代わりに意思決定するものではありません。集計と考察の下書きを任せ、担当者が判断に集中できる状態をつくるために使います。
AI(Claude)で広告レポートを自動化する3つのステップ
全体の流れは次のとおりです。広告媒体のデータをBigQueryに集約し、Claudeのプロジェクトとテンプレートでレポートの型を決めたうえで、スケジュールタスクで定期的に実行します。

広告レポートを自動化する流れ
ステップ1:広告データをClaudeから参照できるようにする
まず、Google広告、Meta広告、Yahoo!広告などのデータを、Claudeから参照できる状態にします。
管理画面から書き出したCSVを毎回Claudeに添付する方法でも試せますが、書き出しと添付の作業が残るため、自動化には向きません。継続して運用するなら、広告データをBigQueryなどのデータウェアハウスに毎日自動で集約し、MCPサーバーを介してClaudeから参照できるようにするのが確実です。
BigQueryとClaudeを接続する手順は、「ClaudeとBigQueryを連携する方法|MCPの接続手順と分析例(別タブで開く)」で解説しています。
接続方法の違いは「Google広告をAIで分析する3つの方法(別タブで開く)」で、複数の媒体のデータをBigQueryに統合する方法は「広告の媒体横断分析をAIで行う方法(別タブで開く)」で解説しています。媒体ごとの具体的な設定手順は、次の記事をご覧ください。
- ClaudeでGoogle広告を分析する方法(別タブで開く)
- ClaudeでMeta広告を分析する方法(別タブで開く)
- ClaudeでYahoo!広告を分析する方法(別タブで開く)
- ClaudeでTikTok広告を分析する方法(別タブで開く)
ステップ2:プロジェクトとテンプレートでレポートの型を決める
次に、レポートの型を決めます。毎回「広告レポートを作って」と依頼すると、確認する指標や出力の形式が回によって変わり、前週と比較しにくくなります。
週次・月次のレポートでは、次の4つを型として決めておくと、毎回同じ品質で出力されます。
- 全体のサマリーと、媒体別・キャンペーン別の成果
- 前週比・前月比で大きく変化した指標
- CPAやROASが悪化した要因
- 次に確認すべきことと、改善の施策
この型を指示にまとめたテンプレートを用意しました。媒体ごとの報告CVと、CRMなどで確認できる実際の獲得数を突き合わせる項目も入れています。
{★} の部分を自社の情報に書き換えて使ってください。
- weekly_ad_report_prompt.md(週次広告レポートの生成プロンプト)
プロンプト例
対象週は2026-09-21〜2026-09-27です。テンプレートの手順に沿って、週次広告レポートを作成してください。
レポートの前提は、Claudeの「プロジェクト」に設定しておくと便利です。プロジェクトの指示に書いた内容は、そのプロジェクト内のすべての会話で参照されるため、毎回説明し直す必要がなくなります。
2026年10月時点では、プロジェクトは無料プランでも5つまで作成できます(What are projects? - Claude Help Center(別タブで開く))。

プロジェクトの作成画面
プロジェクトの指示には、次のような内容を書いておきます。
- 対象の媒体とキャンペーン、重視するKPI
- CVの定義、CPAやROASの目標値
- レポートの出力形式とコメントの書き方
- 報告先が重視する観点、過去のレポート
指示書の書き方や、週次レポートを一言で実行できる「スキル」の作り方は、「ClaudeのスキルでGoogle広告の専属AIアナリストを作る方法(別タブで開く)」で、テンプレートとあわせて紹介しています。
ステップ3:スケジュールタスクで定期実行する
レポートの型が決まったら、定期的に実行できるようにします。
Claudeの「スケジュールタスク」を使うと、登録した指示を決まった頻度で自動実行できます。2026年10月時点の仕様は次のとおりです(Schedule recurring tasks in Claude Cowork - Claude Help Center(別タブで開く))。
- 利用できるプラン:有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)
- 実行の頻度:毎時・毎日・毎週・平日のみ・手動から選ぶ
- 実行の場所:クラウドで実行されるため、パソコンがスリープ中やアプリを閉じていても実行される。ただし、パソコン上のファイルやアプリを使うタスクは、パソコン上でのみ実行される
- 使える機能:通常のタスクと同じく、接続したツール(コネクタ)、スキル、プラグインを使える
手動で作成する場合は、画面左の「Scheduled」を開き、右上の「New task」から「Set up manually」を選びます。作成画面では、タスクの名前、指示、承認モード、実行の頻度を設定し、必要に応じて使用するモデルと作業するフォルダを指定します。
指示には、ステップ2のテンプレートの「指示本文」を貼り付け、対象週を「実行日の前週」と書き換えます。

スケジュールタスクの作成画面
たとえば、次のような運用ができます。
- 毎週月曜日の朝に、前週の広告の成果を要約する
- 毎日、CPAやROASが基準を超えて悪化していないかを確認し、悪化していれば要因を分析する
- 週次のサマリーをSlackに投稿する
2026年10月時点では、頻度の選択肢に「毎月」はありません。月次のレポートは、同じ指示を手動で実行します。
また、Pro・Maxプランでは、チャットとCoworkを1つのClaudeに統合する変更が順次進んでいるため、画面や手順が本記事と異なる場合があります。
報告先に合わせたレポートの出し分け
出力の形式は、報告先に合わせて指示で変えられます。
広告の運用担当者向けには、キャンペーン別・広告グループ別の詳細なレポートが適しています。

運用担当者向けの詳細レポート(デモ用のデータ)
クライアント向けには、PDFやスライドの形式で、要点と評価をまとめた月次の報告が適しています。

クライアント向けのレポート(デモ用のデータ)
社内のチーム向けには、Slackに週次のサマリーを投稿するだけで十分な場合もあります。

Slackに投稿した週次サマリー(デモ用のデータ)
Slackへの投稿には、Slackと連携するための設定が必要です。必要な設定や利用できるプランは変更されることがあるため、最新のヘルプを確認してください。
重要なのは、Claudeにその場で一度だけ分析させるのではなく、毎週・毎月繰り返すレポート業務の流れに組み込むことです。
AIで広告レポートを自動化するときによくある失敗
AIによるレポートの自動化で多い失敗は、前提を渡さずにAIに任せきりにすることです。特に次の3点に注意してください。
媒体ごとのCVの定義の違いを無視して合算する
同じ「CV」でも、媒体によって定義や計測の方法が異なります。ビュースルーCVを含むかどうか、同じユーザーのCVを重複して数えているかどうかなどの違いがあるため、Google広告、Meta広告、Yahoo!広告、GA4、CRMの数値は一致しないのが普通です。
AIに分析させる前に、どの数値を正とするのか、どの指標で評価するのかを決め、プロジェクトの指示に書いておきます。テンプレートに媒体の報告CVと実際の獲得数を突き合わせる項目を入れているのは、このためです。
施策の履歴を渡さずに考察させる
キャンペーンの構成を変えた、予算を増やした、クリエイティブを差し替えた、LPを変更した、CVのタグを修正した。こうした変更は、数値が変化した背景としてClaudeに伝える必要があります。
AIは数値の変化から仮説を立てられますが、社内の事情や施策の経緯を知らなければ、正しく解釈できません。施策の履歴をスプレッドシートなどにまとめ、レポートの作成時に参照させると、考察の精度が上がります。
当社が支援した株式会社Techouse様の事例でも、たとえば応募数が急に落ちたとき、落ちたことはデータで分かりますが、その理由は、その時期の施策や求人の掲載状況といったデータの外の情報がないと分からず、現在は人が考えています。こうした背景の情報をAIに渡せる形で整えることを、次の取り組みに挙げています(「毎朝1時間の広告データ取り込みを15〜20分に(別タブで開く)」)。
AIのコメントを確認せずに提出する
AIが書いた考察を、確認せずに社内やクライアントに提出するのは避けてください。集計の条件が想定と違っていたり、事業の状況に合わない提案が含まれていたりすることがあります。
結果に疑問があれば、「どのテーブルを、どの条件で集計したか説明してください」と依頼して、集計の手順を確認します。
レポートの自動化に必要なデータ基盤
Claudeを使えば、レポートの作成は大きく効率化できます。ただし、データを集める作業が手作業のままでは、本当の意味での自動化にはなりません。
広告データを1か所に集約し、ClaudeやChatGPTから自然な文章で分析できるようにしておけば、媒体ごとの管理画面を開いて数値を転記する作業がなくなります。
さらに、GA4、CRM、売上のデータも統合すると、広告の管理画面だけでは分からない分析もできるようになります。
- 複数の媒体を横断したCPA・ROASの比較
- GA4と広告データを組み合わせたLPの改善分析(「Google広告とGA4をBigQueryで統合分析する方法(別タブで開く)」)
- CRMのデータを含めた商談化率・受注率の分析
- 週次・月次のレポートとSlackへの通知の自動化
広告レポートの自動化で目指すべきは、広告、アクセス解析、CRM、売上のデータをつなぎ、意思決定に使える状態を整えることです。この状態ができれば、レポートの作成だけでなく、日々の運用の改善にも同じデータを使えます。
よくある質問
無料プランでも自動化できますか
2026年10月時点では、スケジュールタスクは有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)の機能です。無料プランでも、プロジェクト(5つまで)にレポートの前提を設定し、テンプレートを使って手動でレポートを作成することはできます。
ChatGPTでも同じことができますか
データの接続とレポートの型づくりは、ChatGPTでも同様に行えます。ChatGPTでBigQueryのデータを分析する手順は、「ChatGPTでGoogle広告を分析する方法(別タブで開く)」で解説しています。
まとめ
- データの接続:広告データをBigQueryなどに毎日自動で集約し、Claudeから参照できるようにする
- レポートの型:プロジェクトとテンプレートで、確認する指標と出力の形式を固定する
- 定期実行:スケジュールタスクで、毎週のレポートを自動で作成する
予算の配分や広告の停止といった最終判断は、担当者が行います。
Claudeには集計と考察の下書きを任せ、担当者は判断と施策の実行に時間を使う。この役割分担が、レポート業務を効率化する近道です。
株式会社INVOXは、データ基盤の構築、データ分析の支援、AIエージェントの開発を行っています。Google広告、Meta広告、Yahoo!広告、GA4、CRM、売上のデータを統合し、ClaudeやChatGPTから分析できる環境の構築から、週次・月次レポートの自動化までを支援しています。
支援の内容は「マーケティング分析(別タブで開く)」で、支援実績は「毎朝1時間の広告データ取り込みを15〜20分に。10〜15媒体のデータを統合し、分析を効率化する環境を構築(別タブで開く)」で紹介しています。
「レポートの作成に毎月時間がかかっている」「数値をまとめるだけで、考察まで手が回らない」といった課題をお持ちでしたら、お問い合わせください。




