BigQueryに蓄積したGoogle広告のデータをClaudeに接続すると、自然な文章で質問するだけで広告の分析ができるようになります。ただ、実際に使い始めると、次のような課題に直面することが少なくありません。
- 毎回「BigQueryのプロジェクトIDは〇〇で、テーブルは△△で…」と前提を説明する必要がある
- 「週次で分析して」と同じ依頼をしても、回答の観点や形式が毎回変わる
- 同じ分析を繰り返すたびに、指示を一から書いている
これらは、Claudeの「プロジェクト」と「スキル」を使うことで解決できます。本記事では、次の2つの手順を解説し、実際の支援先で使っている指示書とスキルのテンプレートを公開します。
- プロジェクト指示書を設定し、前提の説明なしで分析を始められるようにする
- 用途別のスキルを作成し、一言で定型の分析が実行されるようにする
本記事は、ClaudeでGoogle広告を分析する仕組みを一度構築した方に向けた応用編です。
Google広告のデータをBigQueryに連携し、Claudeから分析できるようにするまでの手順は、先に「ClaudeでGoogle広告を分析する方法(別タブで開く)」をご覧ください。
専属AIアナリストでできること
指示書とスキルを整えると、一言の依頼で次のような分析が、毎回同じ観点と形式で返ってきます。
- 週次レポート:「今週のレポートを出して」と伝えると、費用・CV・CPA・CTRを前週比で集計し、広告グループ別・曜日別の内訳まで出す
- 月次の振り返り:当月と前月を比べ、週別のトレンドやCVを獲得したキーワードの上位10件をまとめる
- キーワードの見直し:直近30日の成果から、停止すべきキーワードと入札を上げるべきキーワードを抽出する
- 検索語句の監査:「除外キーワードの候補を教えて」と伝えると、候補を抽出し、検索意図(価格調査・比較検討・情報収集など)で分類する
- 全体の状況確認:「最近の調子はどう?」のような漠然とした質問にも、日別・週別のトレンドから答える
プロジェクトIDやテーブルの説明を毎回する必要はありません。ここで挙げた5つは、記事の後半「Google広告分析のスキルのテンプレート」で、そのまま使えるファイルとして公開しています。
なお、日々の確認をすべてAIに任せる必要はありません。当社が支援した株式会社Techouse様では、毎日決まって見る指標はダッシュボード、クリエイティブ別の実績は毎朝Slackに届くClaudeのレポート、その場の疑問はClaudeでの深掘り、と役割を分けて使っています(「毎朝1時間の広告データ取り込みを15〜20分に(別タブで開く)」)。
前提:Google広告のデータをClaudeで分析できる状態にする
本記事は、Google広告のデータをBigQueryに連携し、MCP経由でClaudeが参照できる状態を前提としています。

全体像
- Fivetran:Google広告のデータを自動でBigQueryに転送し、分析しやすい形に整えるデータ統合サービス
- BigQuery:Googleが提供するデータウェアハウス。無料枠があります
- MCP:ClaudeがBigQueryを直接操作するための接続の仕組み
FivetranでQuickstartのデータモデル(Google Ads)を追加すると、キャンペーン別・キーワード別・検索語句別など、広告分析に適したテーブルが自動で生成されます(Google Ads Data Model - Fivetran(別タブで開く))。
本記事のテンプレートは、このデータモデルが出力するデータセット google_ads_google_ads のテーブル(google_ads__campaign_report など)を参照しています。データセット名は {コネクタのスキーマ名}_google_ads となるため、スキーマ名によって変わります。
セットアップの手順は「ClaudeでGoogle広告を分析する方法(別タブで開く)」で、Fivetranの概要と始め方は「Fivetranとは?広告データ統合でできること・料金・始め方(別タブで開く)」で解説しています。そのほかの接続方法との違いは「Google広告をAIで分析する3つの方法(別タブで開く)」をご覧ください。
なお、「Fivetranとは?」の記事や「Google広告とGA4をBigQueryで統合分析する方法|ClaudeでLP改善まで(別タブで開く)」の手順で追加する「Ad Reporting」は、別のデータセット({スキーマ名}_ad_reporting)に ad_reporting__* のテーブルを出力します。
Ad Reportingだけを追加した場合は、FivetranのTransformationsからGoogle Adsのデータモデルも追加するか、テンプレートのデータセット名・テーブル名を自社の環境に合わせて書き換えてください(Claudeに書き換えさせても構いません)。
Claudeの「プロジェクト」とは
前提を共有した専用の作業スペース
通常のチャットでは、新しい会話を始めるたびに前提が引き継がれないため、同じ説明を繰り返す必要があります。
プロジェクトを使うと、あらかじめ設定した指示(プロジェクト指示)や資料を、Claudeが常に踏まえた状態で会話できます。分析の依頼だけを伝えれば済むようになります。
| 通常のチャット | プロジェクト(指示書あり) | |
|---|---|---|
| 依頼 | 「キャンペーンのCPAを分析して」 | 「キャンペーンのCPAを分析して」 |
| Claudeの反応 | 「どのデータですか?プロジェクトIDとテーブル構造を教えてください」 | すぐにSQLを実行して結果を返す |
| 毎回の手間 | 前提の説明を繰り返す | 不要 |
プロジェクトの作り方
- Claude(別タブで開く)のサイドバーから「プロジェクト」を開き、新しいプロジェクトを作成する
- プロジェクト名を設定する(例:Google広告分析)
- プロジェクト指示の欄に、次の章で紹介する指示書を貼り付ける
作成後は、このプロジェクト内で話しかけるだけで、指示書の内容を踏まえた回答が返ってきます。なお、プロジェクトは無料プランでも作成できます(2026年10月時点、無料プランは5つまで)。
専属AIアナリストの指示書を書く
指示書に書く4つの項目
指示書は、プロジェクト内でClaudeが常に参照する「事前の説明資料」です。次の4つを書いておくだけで、回答の精度が大きく変わります。
- 基本設定:プロジェクトIDやデータセット名を書いておけば、毎回説明する必要がなくなります
- テーブルの定義:どのテーブルで何が分かるかを書いておけば、Claudeが的外れなテーブルを参照しなくなります
- 計算指標の定義:CPA・CTR・CVRなどの計算式を明示すれば、指標の算出方法がぶれません
- 応答のルール:期間の初期値や金額の表記を決めておけば、毎回同じ形式で回答が返ってきます
指示書のテンプレート
実際に当社の支援先で使っている指示書です。{★} の部分を自社の情報に書き換えて使ってください。
FivetranのQuickstartのデータモデル(Google Ads)を使っている場合は、ほぼそのまま利用できます。
Ad Reportingだけを追加した場合は、前述のとおりデータセット名・テーブル名の書き換えが必要です。データセット名はコネクタのスキーマ名によって変わるため、google_ads_google_ads の部分も自社の環境に合わせてください。
- project_instructions_template.md(プロジェクト指示書)
商材の情報や、追っている目標値(KPI)も書き加えておくと、前提をそろえたうえで分析を進められます。
専属AIアナリストのスキルを作る
指示書とスキルの使い分け
指示書だけでも十分に便利になりますが、「スキル」を追加すると、繰り返し行う分析を一言で実行できるようになります。
| 役割 | 書く内容 | 読み込まれるタイミング | |
|---|---|---|---|
| 指示書 | 何を知っているか | テーブル構造・指標の定義・応答ルール | 常に |
| スキル | どう進めるか | 分析の手順・SQLのテンプレート・出力形式 | 必要なときだけ |
たとえば「今週のレポートを出して」と依頼すると、Claudeは週次レポートのスキルを自動で選び、書かれた手順どおりに分析を実行します。
スキルに書く3つの要素
- いつ使うか:「今週のレポートを出して」「除外キーワードを見直したい」など、きっかけとなる依頼の例を書きます。Claudeが適切なスキルを選ぶ手がかりになります
- 分析の手順:どのテーブルを、どの順番で、どのようなSQLで確認するかを書きます。SQLのテンプレートを載せておくと、毎回同じ手順で分析が実行されます
- 出力形式:レポートのひな形(どの項目を、どの順番で出すか)を書いておくと、毎回同じ形式で結果が返ってきます
スキルの登録方法
2026年10月時点のClaudeでは、スキルを次の形式で登録します(How to create custom skills - Claude Help Center(別タブで開く))。
- スキルは、
skill.mdを含むフォルダとして作成する skill.mdの先頭に、name(スキル名、64文字以内)とdescription(何をするスキルで、いつ使うか。200文字以内)を書く- フォルダごとZIPに圧縮し、Claudeの「Customize」→「Skills」からアップロードする
- 利用には、設定でコード実行を有効にしておく必要がある
description は、Claudeがスキルを使うかどうかを判断する材料になります。どのような依頼のときに使うのかを具体的に書いておくことが重要です。
Google広告分析のスキルのテンプレート
すぐに使えるスキルを5種類用意しました。いずれも上の形式に合わせたZIPファイルで、そのままアップロードできます。
SQL内の {★} の部分(プロジェクトID・キャンペーン名・しきい値など)を自社の情報に書き換えてください。
| スキル | 内容 | ファイル |
|---|---|---|
| 週次パフォーマンスレポート | 費用・CV・CPA・CTRを前週比で集計し、広告グループ別・曜日別の内訳も出力する | google-ads-weekly-report.zip |
| 月次の振り返りと翌月の方針 | 当月と前月の比較に加え、週別のトレンドやCVを獲得したキーワードの上位10件を取得する | google-ads-monthly-report.zip |
| キーワード最適化分析 | 直近30日のキーワード別の成果を取得し、停止すべきキーワードと入札を上げるべきキーワードを抽出する | google-ads-keyword-analysis.zip |
| 検索語句の監査 | 除外キーワードの候補を抽出し、検索意図(価格調査・比較検討・情報収集など)で分類する。部分一致の意図のずれも確認する | google-ads-search-term-audit.zip |
| アカウント全体のサマリー | 「最近の調子はどう?」のような漠然とした質問に答える入口のスキル。日別・週別のトレンドを把握する | google-ads-account-summary.zip |
公開されているスキル(Claude Adsなど)との違い
広告分析のスキルは、ほかにも公開されています。代表的なものが「Claude Ads」です。
Anthropicの公式ではなく、個人の開発者がGitHubで公開しているオープンソース(MITライセンス)のスキル集で、主にClaude Code に入れて使います。
2026年10月時点のREADMEによると、Google広告・Meta広告など12の広告媒体を対象に、書き出したデータや権限を与えた広告アカウントをもとに、監査・計画・クリエイティブの作成・レポートなどを行います。初期設定では読み取り専用です(GitHubのREADME(別タブで開く))。
本記事のスキルとは、目的が異なります。
| Claude Adsなどの公開スキル | 本記事のスキル | |
|---|---|---|
| 目的 | 広告アカウントを幅広い観点で点検・改善する | 自社のKPIに沿って、定型の分析を繰り返す |
| 参照するデータ | 書き出したデータや広告アカウント | 自社のBigQueryに蓄積したデータ |
| 判断の基準 | スキルに組み込まれた汎用のチェック項目 | 指示書に書いた自社の目標値・指標の定義 |
| 向いている場面 | アカウントの棚卸しや運用の見直し | 週次・月次のレポートや定期的な確認 |
両者は併用できます。運用を見直すときは公開のスキルで広く点検し、日々の数字は本記事のスキルで自社のデータとKPIに沿って確認する、という使い分けです。
公開のスキルを導入する場合は、提供元と、広告アカウントに与える権限の範囲を確認してから使います。
よくある質問
無料プランでも使えますか
使えます。2026年10月時点で、プロジェクトは無料プランでも5つまで作成できます。
スキルも無料プランを含む各プランで利用できますが、設定でコード実行を有効にしておく必要があります。
BigQuery以外のデータでも使えますか
使えます。指示書とスキルは、Claudeが参照するデータの説明と分析の手順を書いたものです。
接続先がBigQuery以外のデータベースや、MCPで接続できるほかのツールでも、テーブルや項目の説明を書き換えれば同じように使えます。
まとめ
- プロジェクト指示書:テーブル構造・指標の定義・応答ルールを一度書いておけば、前提の説明が不要になる
- スキル:分析の手順をファイルにまとめておけば、一言で定型の分析が完結する
一度この仕組みを整えれば、「今週のレポートを出して」「除外キーワードの候補を教えて」と依頼するだけで分析が完結します。
同じ仕組みは、Meta広告・GA4・サーチコンソール・HubSpotなど、ほかのデータにも応用できます(サーチコンソールとGA4をClaudeで分析する手順は「ClaudeでサーチコンソールとGA4を分析する方法(別タブで開く)」で解説しています)。
データごとに指示書とスキルを用意すれば、マーケティング全体の分析を自然な文章で行えるようになります。
株式会社INVOXは、BigQueryとClaudeを接続し、社内のデータを自然な文章で分析できる環境の構築を支援しています。
支援の内容は「マーケティング分析(別タブで開く)」で、支援実績は「毎朝1時間の広告データ取り込みを15〜20分に。10〜15媒体のデータを統合し、分析を効率化する環境を構築(別タブで開く)」で紹介しています。
「自社で構築するのは難しい」「自社のデータに合わせて指示書やスキルを作りたい」といったご要望がありましたら、お問い合わせください。




