Yahoo!広告の運用では、検索広告とディスプレイ広告のレポートをそれぞれ書き出し、スプレッドシートでキャンペーン別・キーワード別に集計する作業を毎週・毎月繰り返します。
集計とグラフの作成に時間を取られ、CPAやROASが悪化した要因の検討や改善策の立案に時間を割けないことも少なくありません。
Yahoo!広告のデータをBigQueryに蓄積し、生成AIのClaudeに接続すれば、「キャンペーン別のCPAとROASを出して」と日本語で指示するだけで、集計から示唆の整理、ダッシュボードの作成まで任せられます。
本記事では、Yahoo!広告のデータをFivetranでBigQueryに転送し、Claudeに接続して分析する方法を解説します。エンジニアでなくても、画面の操作だけで構築できる手順です。

Claudeが作成したダッシュボード(デモ用のデータ)
なお、2026年10月時点でYahoo!広告は「LINEヤフー広告」の名称で提供されており、検索広告は「LINEヤフー広告 検索広告(別タブで開く)」と呼ばれています。ディスプレイ広告は、2026年4月にLINE広告と統合されて「LINEヤフー広告 ディスプレイ広告」になりました(LINEヤフーのプレスリリース(別タブで開く))。
本記事では、広く使われている「Yahoo!広告」の名称で説明します。
ClaudeでYahoo!広告を分析する仕組み
全体の流れは次のとおりです。Yahoo!広告のデータをFivetranでBigQueryに転送し、BigQueryをClaudeのコネクタとして接続します。
Claudeは、BigQueryに対してSQLを自ら作成・実行し、その結果をもとに回答します。

環境の全体像
広告管理ツールから書き出したレポートのCSVをClaudeに添付して分析する方法もありますが、分析のたびに書き出しと添付が必要になり、扱えるデータ量にも限りがあります。
方法ごとの違いは「Claudeでデータ分析する方法(別タブで開く)」と「Google広告をAIで分析する3つの方法(別タブで開く)」で解説しています。
必要なツールとClaudeのプラン
以下は2026年10月時点の情報です。
- Yahoo!広告アカウント:分析したい広告アカウントへのアクセス権に加え、後述する「LINEヤフー広告 API」の利用申し込みが必要です
- Fivetran:Yahoo!広告などのデータを、BigQueryへ自動で転送するサービスです。月50万行(MAR)まで使える無料プランがあります(Fivetranの料金(別タブで開く))
- BigQuery:Google Cloudのデータウェアハウスです。毎月10GBのストレージと1TBのクエリ処理までの無料枠があります(BigQueryの料金(別タブで開く))
- Claude:BigQueryをコネクタとして接続し、分析に使います。コネクタの一覧(ディレクトリ)にあるコネクタは、無料プランを含むすべてのユーザーが利用できます(Use connectors to extend Claude’s capabilities(別タブで開く))
Fivetranの概要は「Fivetranとは?広告データ統合でできること・料金・始め方(別タブで開く)」で解説しています。本記事ではYahoo!広告のデータだけを扱いますが、ほかの広告媒体やGA4、CRMのデータもBigQueryに集めれば、ツールを横断した分析も同じ方法で行えます。
ClaudeでできるYahoo!広告の分析例
構築後にどのような分析ができるのかを、先に紹介します。画面の数値は、スキンケアのD2Cブランド(自社ECで直販)を想定した架空の企業のデモ用データです。
キャンペーン別のCPA・ROASを確認する
プロンプト例
直近30日のキャンペーン別のCPAとROASを、SEARCH・DISPLAYのタイプ付きで出してください。
Claudeは計算式を示したうえでSQLを実行し、キャンペーン別の表示回数・クリック・費用・CV・CPA・売上などを一覧にしました。

Claudeの回答画面(デモ用のデータ)
集計結果だけでなく、効率の良いキャンペーンと悪いキャンペーンの整理や、次に深掘りすべき点の提案も返ってきます。この例では、ROASの低い一般語の2キャンペーンをキーワード単位で分解することが提案されました。
ROASが低い、または悪化したときに、どの要素に分解して原因を探るかは「ROASとは?悪化の原因と改善方法(別タブで開く)」で解説しています。

読みどころと次の分析の提案(デモ用のデータ)
続けて「この結果をアーティファクトにしてください」と指示すると、冒頭のようなダッシュボードを作成できます。作成したダッシュボードはこちら(別タブで開く)で操作できます。
CPAを押し上げているキーワードを特定する
前の回答の提案を受けて、効率の悪いキャンペーンを深掘りします。
プロンプト例
ROASが低い2キャンペーン(skincare・serum)をキーワード単位で分解して、CPAを押し上げている具体的なキーワードを特定してください。
キーワード別の費用・CV・CPC・CVR・CPAを並べたダッシュボードが作成されました(ダッシュボード(別タブで開く))。

キーワード別のダッシュボード(デモ用のデータ)
この例では、キーワードごとのCPAにほとんど差がなく、特定のキーワードを止めても改善しないことが分かりました。CPAの差を生んでいるのはCVRではなくCPCで、キャンペーン単位で予算や入札を見直す必要があるという結論です。
CPAが悪化する原因の切り分け方は「CPAとは?悪化の原因と改善方法(別タブで開く)」で解説しています。
ほかの広告媒体やShopifyのデータと組み合わせて評価する
ほかの広告媒体や、Shopify・CRMの受注データもBigQueryに集めておくと、管理画面上のCVではなく、実際に獲得した顧客と売上で広告を評価できます。
プロンプト例
ほかの媒体やShopifyのデータも組み合わせて、本当に効果が出ているキャンペーンを分析してください。
媒体の報告するCV・ROASと、Shopify上の実際の獲得数・CPA・F2転換率(2回目の購入に至った割合)・LTVにもとづくROASを、キャンペーンごとに並べた結果が返ってきました(ダッシュボード(別タブで開く))。

媒体横断のダッシュボード(デモ用のデータ)
管理画面上のROASが高く見えるキャンペーンでも、実際の顧客の売上で評価すると順位が入れ替わることがあります。
当社が支援した株式会社Techouse様では、Google広告・Yahoo!広告・Meta広告など、媒体ごとにばらばらだった数字が同じ基準で並ぶようになり、どの媒体のどのクリエイティブにいくら使い、どれだけ成果につながったかを把握できるようになりました。予算配分やクリエイティブの見直しを、その数字をもとに判断しています(「毎朝1時間の広告データ取り込みを15〜20分に(別タブで開く)」)。
複数の広告媒体のデータをBigQueryに統合する方法は「広告の媒体横断分析をAIで行う方法(別タブで開く)」で紹介しています。
ClaudeとYahoo!広告をつなぐ環境の構築手順
ここからは、具体的な構築手順を解説します。データの転送を待つ時間と、LINEヤフー広告 APIの申し込みの手続きを除けば、構築の作業そのものは1時間程度が目安です。
手順1:LINEヤフー広告 API・Fivetran・BigQuery・Claudeを準備する
LINEヤフー広告 API
FivetranがYahoo!広告のデータを取得するには、LINEヤフー広告 APIのアプリケーションの「クライアントID」と「クライアントシークレット」が必要です。2026年10月時点の手順は次のとおりです(LINEヤフー広告 API スタートアップガイド(別タブで開く))。
- APIの利用を申し込む:ルートMCCの管理権限を持つビジネスIDで広告管理ツールにログインし、「ツール」→「LINEヤフー広告 API お申し込み」から申し込みます。完了すると、ビジネスIDのメールアドレスに登録完了のお知らせが届きます(お申し込み手順(別タブで開く))
- アプリケーションを登録する:LINEヤフー広告 API管理ツールで「登録アプリケーション」→「登録」を開き、アプリケーション名・説明・リダイレクトURIを入力します。登録後の一覧に、クライアントIDとクライアントシークレットが表示されます(アプリケーションの登録(別タブで開く))
リダイレクトURIには、Fivetranが指定するURLを入力します。検索広告とディスプレイ広告でURLが異なります(検索広告のセットアップガイド(別タブで開く)、ディスプレイ広告のセットアップガイド(別タブで開く))。
- 検索広告:
https://fivetran.com/integrations/yahoo_search_ads_yahoo_japan/oauth2/return - ディスプレイ広告:
https://fivetran.com/integrations/yahoo_display_ads_on_yahoo_japan/oauth2/return
ルートMCCの管理権限を持っていない場合は、社内で権限を持つ担当者に申し込みを依頼します。広告アカウントを代理店に預けている場合は、代理店との調整が必要になることがあります。
Fivetran
Fivetranのサイト(別タブで開く)の「Start free」からアカウントを登録します。2026年10月時点では、無料プランに加えて、最大14日間の無料トライアルが用意されています。
BigQuery
Google Cloudのプロジェクトを作成し、BigQueryを使えるようにします。手順は「サンドボックスを使用して BigQuery を試す(別タブで開く)」にまとめられています。
ただし、FivetranはBigQueryのサンドボックスに対応していません(Fivetranのセットアップガイド(別タブで開く))。プロジェクトに請求先アカウントを設定し、課金を有効にする必要があります。
クレジットカードの登録は必要ですが、Yahoo!広告の分析を試す程度であれば、多くの場合は無料枠の範囲に収まります。
Claude
Claude(別タブで開く)のアカウントを用意します。Web版・デスクトップアプリのどちらでも利用できます。
手順2:FivetranでYahoo!広告のデータをBigQueryに転送する
Fivetranでは、データの転送先(Destination)と、転送元との接続(Connection)の2つを設定します。今回は次の組み合わせです。
- Destination:BigQuery
- Connection:Yahoo!広告(検索広告・ディスプレイ広告)
転送先(Destination)にBigQueryを設定する
Fivetranの「Destinations」のページで「Add destination」をクリックし、「BigQuery」を検索して選択します。

Destinationの選択画面
設定画面の右側にセットアップガイドが表示されるので、その手順に沿って入力します。「Save & Test」を実行し、テストを通過すれば設定は完了です。

BigQueryの設定画面
データの保存場所(Data Location)は、特に制約がなければ初期値のUSのままで問題ありません。ただし、社内の規程でデータの保管場所を日本国内に限定している企業もあるため、事前に確認しておくと安心です。
転送元(Connection)にYahoo!広告を設定する
次に「Connections」のページで「Add connection」をクリックし、「Yahoo Ads」を検索します。
2026年10月時点では、コネクタの名称は旧名称のまま「Yahoo Search Ads on Yahoo Japan」(検索広告)と「Yahoo Display Ads on Yahoo Japan」(ディスプレイ広告)の2つです。必要なものをそれぞれ設定します。

Connectionの選択画面
転送先には、先ほど設定したBigQueryを選びます。手順1で控えたクライアントIDとクライアントシークレットを入力し、「Authorize」をクリックして、広告アカウントへのアクセス権を持つビジネスIDで認証します。
ディスプレイ広告の接続には、広告アカウントの管理者権限が必要です。

検索広告の設定画面
2026年10月時点のFivetranのドキュメントでは、取り込める期間について次のように案内されています。
- 検索広告:初回の同期では、2019年1月1日以降のデータを取り込む
- ディスプレイ広告:APIの制限により、広告別の実績(AD)とリーチ(REACH)のテーブルは過去3年分まで
データの更新頻度を設定する
設定後の画面の「Settings」タブにある「Sync frequency」で、データを更新する頻度を変更できます。
初期値は6時間ごとです(Fivetranの同期の仕組み(別タブで開く))。日次の分析が中心であれば、24時間ごとでも十分です。
分析しやすいテーブルは自社で作る
Google広告やMeta広告では、Fivetranの「Quickstartのデータモデル(Ad Reporting)」を追加すると、日付・キャンペーン・広告グループ・広告などの単位で主要な指標を整理したテーブルが自動で作成されます。
一方、Yahoo!広告のコネクタはFivetranの「Liteコネクタ(別タブで開く)」で、2026年10月時点ではこのデータモデルの対象外です。
そのままでもClaudeは分析できますが、日付×キャンペーン、日付×キーワードといった粒度で指標を整えたテーブルを用意しておくと、集計の精度と速度が上がります。BigQuery上のSQLで作成し、Dataform(別タブで開く)などのツールで定期的に更新するのが一般的です。
手順3:BigQueryをClaudeのコネクタとして接続する
最後に、BigQueryをClaudeに接続します。
Claudeのコネクタの一覧には「Google Cloud BigQuery」が用意されています。接続先は、Google Cloudが提供する「BigQuery リモート MCP サーバー」です。
2026年10月時点では、BigQuery APIを有効にすると、このMCPサーバーも利用できる状態になります。新しいプロジェクトでは、BigQuery APIは最初から有効です(Use the BigQuery MCP server(別タブで開く))。

Claudeのコネクタの一覧
ClaudeからBigQueryにアクセスするには、Google Cloudで「OAuth クライアント」を作成し、次の2つを用意します。
- OAuth クライアント ID:接続するアプリを識別するためのID
- OAuth クライアント シークレット:そのアプリが正規のものであることを証明するための、アプリ専用のパスワード
Google CloudでOAuth クライアントを作成する
- 手順1で作成したプロジェクトで、Google Auth Platform の「クライアント」(別タブで開く)のページを開きます
- 「クライアントを作成」をクリックします
- アプリケーションの種類で「ウェブ アプリケーション」を選びます
- 名前を入力します(例:BigQuery MCP)
- 「承認済みのリダイレクト URI」に
https://claude.ai/api/mcp/auth_callbackを追加します(Authentication for connectors(別タブで開く)) - 「作成」をクリックします

作成したOAuth クライアント
作成すると、クライアント IDとクライアント シークレットが表示されます。クライアント シークレットを確認・ダウンロードできるのは作成時のみのため、安全な場所に控えておきます(OAuth クライアントを管理する(別タブで開く))。
Claudeにコネクタを追加する
- Claudeの「カスタマイズ」→「コネクタ」を開き、「+」ボタンからコネクタの一覧を開きます
- 「BigQuery」で検索し、「Google Cloud BigQuery」を選びます
- Google Cloudで控えたOAuth クライアント IDとOAuth クライアント シークレットを入力します
- 「続ける」をクリックし、BigQueryへのアクセス権を持つGoogleアカウントで認証します

BigQueryコネクタの設定画面
コネクタの一覧にBigQueryが追加されていれば、接続は完了です。チャット画面で、広告データについて質問してみてください。
Claudeによる分析の精度を上げるための注意点
構築後につまずきやすいポイントと、その対処法をまとめます。
分析結果が誤っている・正しいか判断できない場合は前提情報を渡す
明らかに誤った集計が返ってきたり、結果が正しいか判断できなかったりする場合は、Claudeに渡している前提情報が不足していることがほとんどです。
データセットとテーブルの一覧、各項目の意味、指標の定義、回答の形式などをMarkdownのファイルにまとめ、分析の前に渡しておくと、回答の精度が安定します。本記事の分析例では、次のファイルを渡しています。
- context.md(デモ環境のデータの説明と、回答のルールをまとめたもの)
Claudeの「プロジェクト(別タブで開く)」にこのファイルを追加しておけば、プロジェクト内のどのチャットでも同じ前提で分析でき、毎回添付する必要がなくなります。
2026年10月時点では、プロジェクトは無料プランでも5つまで作成できます。
また、結果が正しいか判断できないときは、「どのような手順で集計したか説明してください」と依頼すると、使ったテーブルや集計の条件を確認できます。想定と異なる集計をしていれば、その場で修正を指示します。
「データセットが見つからない」と返される場合はプロジェクトIDを指定する
接続には成功していても、参照先のプロジェクトやデータセットの指定が曖昧だと、Claudeが対象を見つけられないことがあります。
最初にプロジェクトIDを明示し、「どのようなデータセットとテーブルがありますか」と質問して、Claudeにデータの構造を把握させてから分析を依頼すると円滑です。前述の前提情報のファイルにプロジェクトIDやテーブルを書いておけば、この手順も不要になります。
BigQueryのデータにアクセスできない場合はIAMの権限を確認する
Claudeからの接続はできても、データを参照できない場合は、認証に使ったGoogleアカウントの権限が不足している可能性があります。2026年10月時点のGoogle Cloudのドキュメントでは、BigQuery MCP サーバーの利用に次のロールが必要とされています。
- MCP Tool User(roles/mcp.toolUser):MCPのツールを呼び出す権限
- BigQuery Job User(roles/bigquery.jobUser):クエリを実行する権限
- BigQuery Data Viewer(roles/bigquery.dataViewer):データを閲覧する権限
会社のGoogle Cloudを利用している場合、自分では権限を変更できないことがあります。その場合は、Google Cloudの管理者に依頼してください。
なお、BigQuery MCP サーバーには、クエリの処理時間が初期設定で3分まで、結果は最大3,000行までといった制限があります。大量の明細をそのまま取得するのではなく、集計した結果を返すよう依頼するのが確実です。
まとめ
- APIの準備:LINEヤフー広告 APIを申し込み、アプリケーションを登録してクライアントIDとクライアントシークレットを取得する
- データの転送:FivetranのLiteコネクタで、検索広告・ディスプレイ広告のデータをBigQueryに転送する。分析しやすいテーブルはSQLで自社で作る
- Claudeとの接続:BigQueryのコネクタを、OAuth認証でClaudeに追加する
- 分析の精度:テーブルや指標の定義をまとめたファイルをプロジェクトに入れ、前提をそろえる
一度構築すればデータは自動で更新されるため、レポートの作成や要因の分析を、日本語の指示だけで短時間に行えるようになります。週次・月次のレポートを決まった頻度で自動作成する方法は、「広告レポートをAIで自動化する方法(別タブで開く)」で解説しています。
ただし、企業で継続的に運用するには、データの接続に加えて、指標の定義、権限の管理、運用のルール、GA4やCRM・SFAとの連携まで設計する必要があります。
株式会社INVOXは、データ基盤の構築、データ分析の支援、AIエージェントの開発を行っています。
支援の内容は「マーケティング分析(別タブで開く)」で、支援実績は「毎朝1時間の広告データ取り込みを15〜20分に。10〜15媒体のデータを統合し、分析を効率化する環境を構築(別タブで開く)」で紹介しています。
「Yahoo!広告を含む複数の広告媒体のレポート作成を自動化したい」「広告の成果を商談化率や受注、売上まで含めて評価したい」といった課題をお持ちでしたら、お問い合わせください。




