Google広告の運用では、キャンペーンやキーワードごとの成果を集計し、CPAやROASが悪化した要因を探る作業を毎週・毎月繰り返します。
管理画面からレポートを書き出し、スプレッドシートで集計してグラフを作る作業は時間がかかり、肝心の改善策の検討に時間を割けないことも少なくありません。
ChatGPTにGoogle広告のデータを直接参照させれば、「キャンペーン別の費用対効果を出して」と日本語で指示するだけで、集計から示唆の整理、ダッシュボードの作成まで任せられます。
本記事では、Google広告のデータをBigQueryに蓄積し、ChatGPTに接続して分析する方法を解説します。エンジニアでなくても、画面の操作だけで構築できる手順です。

ChatGPTが作成したダッシュボード(デモ用のデータ)
なお、Google広告のデータをAIに渡す方法には、CSVを添付する方法やGoogle広告のMCPサーバーを使う方法もあります。それぞれの違いは「Google広告をAIで分析する3つの方法(別タブで開く)」で比較しています。
Claudeで同じ環境を使う場合は、「ClaudeでGoogle広告を分析する方法(別タブで開く)」をご覧ください。
ChatGPTでGoogle広告を分析する仕組み
全体の流れは次のとおりです。Google広告のデータをFivetranでBigQueryに転送し、BigQueryをChatGPTに接続します。

環境の全体像
必要なツールとChatGPTのプラン
- Google広告アカウント:分析したいアカウントへのアクセス権が必要です
- Fivetran:Google広告などのデータを、分析しやすい形に整えてBigQueryへ転送するサービスです。データ量の少ない利用向けの無料プランがあります(Fivetranの料金(別タブで開く))
- BigQuery:Google Cloudのデータウェアハウスです。毎月10GiBのストレージと1TiBのクエリ処理までの無料枠があります(BigQueryの料金(別タブで開く))
- ChatGPT:BigQueryを「アプリ」として接続し、分析に使います
ChatGPTでは、BigQueryのような外部のサービスを、MCP(Model Context Protocol)に対応した「アプリ」として接続します。自分で作成したアプリを接続するには「開発者モード」が必要です。
2026年10月時点のOpenAIのヘルプでは、開発者モードを利用できるプランとして Business・Enterprise・Edu が、データの参照に限った利用として Pro が案内されています。Businessでは、開発者モードを使えるのはワークスペースの管理者・オーナーに限られます(Developer mode and MCP apps in ChatGPT(別タブで開く))。
利用できるプランや画面の名称は変更されることがあるため、構築の前に最新のヘルプを確認してください。
Fivetranの概要やメリットは「Fivetranとは?広告データ統合でできること・料金・始め方(別タブで開く)」で解説しています。
Fivetranで取り込みを自動にすると、管理画面からレポートを書き出して貼り付ける作業を大きく減らせます。当社が支援した株式会社Techouse様では、Google広告・Yahoo!広告・Meta広告などのレポートを毎朝CSVで出力し、媒体ごとのシートに貼り付けていました。この作業には1日1時間弱かかっていましたが、Fivetranの導入後は、APIのない一部の媒体を補う15〜20分ほどの作業で済んでいます(「毎朝1時間の広告データ取り込みを15〜20分に(別タブで開く)」)。
本記事ではGoogle広告のデータだけを扱いますが、ほかの広告媒体やGA4、CRMのデータもBigQueryに集めれば、ツールを横断した分析も同じ方法で行えます。
ChatGPTでできるGoogle広告の分析例
構築後にどのような分析ができるのかを、先に紹介します。画面の数値は、スキンケアのD2Cブランド(自社ECで直販)を想定した架空の企業のデモ用データです。
キャンペーン別の費用対効果を確認する
プロンプト例
Google広告のキャンペーン別の費用対効果を教えてください。
期間を指定しなかったため、ChatGPTは直近30日を対象と判断し、キャンペーン別の費用・CV・CPA・ROASなどを集計しました。

ChatGPTの回答画面(デモ用のデータ)
集計結果だけでなく、効率の良いキャンペーンと悪いキャンペーンの整理や、次に確認すべきことの提案も返ってきます。

所感と次のアクションの提案(デモ用のデータ)
続けて「この結果をHTML形式のダッシュボードにしてください」と指示すると、冒頭のようなダッシュボードを作成できます。作成したダッシュボードは、次のファイルで確認できます。
- google_ads_campaign_dashboard.html(キャンペーン別の費用対効果)
CPAを悪化させているキーワードを特定する
前の回答を受けて、費用が大きく効率の悪いキャンペーンを深掘りします。
プロンプト例
費用が大きく効率が悪い generic-skincare と generic-serum の中で、どのキーワードがCPAを悪化させているかを分析してください。
キーワードとマッチタイプごとの費用・CV・CPAが一覧で返ってきました。

キーワード別の集計結果(デモ用のデータ)
あわせて、CPAを押し上げているキーワードと、改善の優先度も提案されます。

改善の優先度の提案(デモ用のデータ)
この例はGoogle広告のデータだけで評価しています。本来は、獲得した顧客の売上まで含めて費用対効果を判断するのが望ましく、その方法を次に紹介します。
Meta広告やShopifyのデータと組み合わせて売上で評価する
Meta広告などほかの広告媒体や、Shopify・CRMの受注データもBigQueryに集めておくと、管理画面上のCVではなく、実際の売上や顧客の質で広告を評価できます。
プロンプト例
Meta広告やShopifyのデータも組み合わせて、本当に効果が出ているキャンペーンを分析してください。
キャンペーンごとに、Shopify上の売上をもとにしたROAS、新規顧客数、CAC、F2転換率(2回目の購入に至った割合)を並べ、評価を付けた結果が返ってきました。

媒体を横断した評価(デモ用のデータ)
この結果もダッシュボードにまとめられます。

媒体横断のダッシュボード(デモ用のデータ)
- cross_media_shopify_ads_dashboard.html(媒体横断の広告効果)
複数の広告媒体のデータをBigQueryに統合する方法は「広告の媒体横断分析をAIで行う方法(別タブで開く)」、Google広告とGA4を組み合わせた分析は「Google広告とGA4をBigQueryで統合分析する方法(別タブで開く)」で紹介しています。
ChatGPTとGoogle広告をつなぐ環境の構築手順
ここからは、具体的な構築手順を解説します。データの転送を待つ時間を除けば、構築の作業そのものは1時間程度が目安です。
手順1:Fivetran・BigQuery・ChatGPTを準備する
Fivetran
Fivetranのサイト(別タブで開く)の「Start free」からアカウントを登録します。
2026年10月時点では、無料プランに加えて、新しいアカウントには14日間の無料トライアルがあり、プランを選んだ後も、新しく作成した接続(Connection)はそれぞれ14日間無料で試せます(Fivetranの無料トライアル(別タブで開く))。
BigQuery
Google Cloudのプロジェクトを作成し、BigQueryを使えるようにします。手順は「サンドボックスを使用して BigQuery を試す(別タブで開く)」にまとめられています。
ただし、FivetranはBigQueryのサンドボックスに対応していません(Fivetranのセットアップガイド(別タブで開く))。プロジェクトに請求先アカウントを設定し、課金を有効にする必要があります。
クレジットカードの登録は必要ですが、Google広告の分析を試す程度であれば、多くの場合は無料枠の範囲に収まります。
ChatGPT
ChatGPT(別タブで開く)のアカウントを用意します。前述のとおり、自作のアプリを接続するには、開発者モードを利用できるプランが必要です。
手順2:FivetranでGoogle広告のデータをBigQueryに転送する
Fivetranでは、データの転送先(Destination)と、転送元との接続(Connection)の2つを設定します。今回は次の組み合わせです。
- Destination:BigQuery
- Connection:Google広告
転送先(Destination)にBigQueryを設定する
Fivetranの「Destinations」のページで「Add destination」をクリックし、「BigQuery」を検索して選択します。

Destinationの選択画面
設定画面の右側にセットアップガイドが表示されるので、その手順に沿って入力します。「Save & Test」を実行し、テストを通過すれば設定は完了です。

BigQueryの設定画面
データの保存場所(Data Location)は、特に制約がなければ初期値のUSのままで問題ありません。ただし、社内の規程でデータの保管場所を日本国内に限定している企業もあるため、事前に確認しておくと安心です。
転送元(Connection)にGoogle広告を設定する
次に「Connections」のページで「Add connection」をクリックし、「Google Ads」を検索して選択します。

Connectionの選択画面
転送先には、先ほど設定したBigQueryを選びます。Google広告の「Customer ID」を入力し、「Authorize with Google」をクリックして、広告アカウントへのアクセス権を持つGoogleアカウントで認証します。
特定の広告アカウントだけを転送したい場合は、「Accounts sync mode」で対象を絞り込めます。

Google広告の設定画面
Quickstartのデータモデルを追加する
「Save & Test」を実行すると、Quickstartのデータモデル(Ad Reporting)を追加する画面が表示されます。日付・キャンペーン・広告グループ・広告などの単位で主要な指標を整理したテーブルを自動で作成する機能で、ChatGPTが集計しやすくなるため、追加することをおすすめします。
Meta広告など、ほかの広告媒体を追加した場合も、共通の形式のテーブルにまとめられます(Fivetranのデータモデル(別タブで開く))。

Quickstartのデータモデルの設定画面
なお、Connectionの設定時に選べる「Custom reports」は任意の機能です。まずはQuickstartのデータモデルで始めれば十分です。
データの更新頻度を設定する
設定後の画面の「Settings」タブにある「Sync frequency」で、データを更新する頻度を変更できます。初期値は6時間ごとです(Fivetranの同期の仕組み(別タブで開く))。
日次の分析が中心であれば、24時間ごとでも十分です。
無料プランでは、Quickstartのデータモデルの実行も月5,000回までです(Fivetranの無料プラン(別タブで開く))。データモデルは初期設定では同期のたびに実行されるため、6時間ごとの同期では上限に近づくことがあります。
無料プランで使う場合は24時間ごとにしておくと安心です。詳しくは「Fivetranとは?広告データ統合でできること・料金・始め方(別タブで開く)」で解説しています。

Settingsの画面
手順3:BigQueryをChatGPTのアプリとして接続する
最後に、BigQueryをChatGPTに接続します。
接続先は、Google Cloudが提供する「BigQuery リモート MCP サーバー」です。2026年10月時点では、BigQuery APIを有効にすると、このMCPサーバーも利用できる状態になります(BigQuery MCP サーバーを使用する(別タブで開く))。
ChatGPTからBigQueryにアクセスするには、Google Cloudで「OAuth クライアント」を作成し、次の2つを用意します。
- OAuth クライアント ID:接続するアプリを識別するためのID
- OAuth クライアント シークレット:そのアプリが正規のものであることを証明するための、アプリ専用のパスワード
Google CloudでOAuth クライアントを作成する
- 手順1で作成したプロジェクトで、Google Auth Platform の「クライアント」(別タブで開く)のページを開きます
- 「クライアントを作成」をクリックします
- アプリケーションの種類で「ウェブ アプリケーション」を選びます
- 名前を入力します(例:BigQuery MCP)
- 「承認済みのリダイレクト URI」は、後でChatGPTのコールバックURLを入力するため、いったん空欄のままにします
- 「作成」をクリックします

作成したOAuth クライアント
作成すると、クライアント IDとクライアント シークレットが表示されます。クライアント シークレットを確認・ダウンロードできるのは作成時のみのため、安全な場所に控えておきます(OAuth クライアントを管理する(別タブで開く))。
ChatGPTでアプリを作成する
- ChatGPTの設定画面で、開発者モードを有効にします
- アプリの作成画面を開きます
- 次の項目を入力します
- 名前:任意(例:BigQuery MCP)
- 接続(サーバーの URL):
https://bigquery.googleapis.com/mcp - 認証:OAuth
- OAuth クライアント ID・OAuth クライアント シークレット:Google Cloudで控えた値
- 画面に表示されるコールバックURLをコピーし、Google CloudのOAuth クライアントの「承認済みのリダイレクト URI」に追加して保存します
- 「作成する」をクリックし、BigQueryへのアクセス権を持つGoogleアカウントで認証します

アプリの作成画面
開発者モードを有効にする場所やアプリの作成画面の位置は、プランによって異なります。
Businessの場合は「ワークスペースの設定」からアプリを作成します。作成したアプリをワークスペースのほかのメンバーが使うには、管理者・オーナーがアプリを公開(publish)する必要があります(Developer mode and MCP apps in ChatGPT(別タブで開く))。
有効なアプリの一覧にBigQueryのアプリが追加されていれば、接続は完了です。チャット画面で、広告データについて質問してみてください。

有効化されたアプリの一覧
ChatGPTによる分析の精度を上げるための注意点
構築後につまずきやすいポイントと、その対処法をまとめます。
分析結果が誤っている・正しいか判断できない場合は前提情報を渡す
明らかに誤った集計が返ってきたり、結果が正しいか判断できなかったりする場合は、ChatGPTに渡している前提情報が不足していることがほとんどです。
データセットとテーブルの一覧、各項目の意味、指標の定義、回答の形式などをMarkdownのファイルにまとめ、分析の前に渡しておくと、回答の精度が安定します。本記事の分析例では、次のファイルを渡しています。
- context.md(デモ環境のデータの説明と、回答のルールをまとめたもの)
ChatGPTの「プロジェクト(別タブで開く)」にこのファイルを追加しておけば、プロジェクト内のどのチャットでも同じ前提で分析でき、毎回添付する必要がなくなります。プロジェクトのチャットでは、接続したアプリも利用できます。
また、結果が正しいか判断できないときは、「どのような手順で集計したか説明してください」と依頼すると、使ったテーブルや集計の条件を確認できます。想定と異なる集計をしていれば、その場で修正を指示します。
「データセットが見つからない」と返される場合はプロジェクトIDを指定する
接続には成功していても、参照先のプロジェクトやデータセットの指定が曖昧だと、ChatGPTが対象を見つけられないことがあります。
最初にプロジェクトIDを明示し、「どのようなデータセットとテーブルがありますか」と質問して、ChatGPTにデータの構造を把握させてから分析を依頼すると円滑です。前述の前提情報のファイルにプロジェクトIDやテーブルを書いておけば、この手順も不要になります。
BigQueryのデータにアクセスできない場合はIAMの権限を確認する
ChatGPTからの接続はできても、データを参照できない場合は、認証に使ったGoogleアカウントの権限が不足している可能性があります。
2026年10月時点のGoogle Cloudのドキュメントでは、BigQuery MCP サーバーの利用に次のロールが必要とされています。
- MCP Tool User(roles/mcp.toolUser):MCPのツールを呼び出す権限
- BigQuery Job User(roles/bigquery.jobUser):クエリを実行する権限
- BigQuery Data Viewer(roles/bigquery.dataViewer):データを閲覧する権限
会社のGoogle Cloudを利用している場合、自分では権限を変更できないことがあります。その場合は、Google Cloudの管理者に依頼してください。
なお、BigQuery MCP サーバーには、クエリの処理時間が初期設定で3分まで、結果は最大3,000行までといった制限があります。大量の明細をそのまま取得するのではなく、集計した結果を返すよう依頼するのが確実です。
まとめ
- データの準備:FivetranでGoogle広告のデータをBigQueryに転送し、Quickstartのデータモデルで分析しやすいテーブルを作る
- ChatGPTとの接続:BigQuery MCP サーバーを、OAuth認証でChatGPTのアプリとして接続する
- 分析の精度:テーブルや指標の定義をまとめたファイルをプロジェクトに入れ、前提をそろえる
一度構築すればデータは自動で更新されるため、レポートの作成や要因の分析を、日本語の指示だけで短時間に行えるようになります。
ただし、企業で継続的に運用するには、データの接続に加えて、指標の定義、権限の管理、運用のルール、GA4やCRM・SFAとの連携まで設計する必要があります。
株式会社INVOXは、データ基盤の構築、データ分析の支援、AIエージェントの開発を行っています。
支援の内容は「マーケティング分析(別タブで開く)」で、支援実績は「毎朝1時間の広告データ取り込みを15〜20分に。10〜15媒体のデータを統合し、分析を効率化する環境を構築(別タブで開く)」で紹介しています。
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