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技術・ツール紹介

データ基盤の費用の目安|ツールの月額試算と構築・運用の考え方

佐藤 恒株式会社INVOX 代表取締役 CEO

広告・GA4・CRMのデータを1か所に集めて、毎週の集計の手作業をなくしたい。そう考えてデータ基盤を検討し始めると、最初に気になるのが「いくらかかるのか」です。

データ基盤の費用は、ツールの利用料と、作って運用する人の費用に分かれます。

従業員数十〜数百名の会社が最初に作る規模であれば、ツールの利用料は、無料枠や無料プランを使って小さく始められます。費用の中心になるのは、多くの場合、人の時間です。

本記事では、まずデータ基盤の費用の内訳と、2026年10月時点の公式の料金にもとづく月額の試算例を紹介します。

そのうえで、ツールごとの料金体系、構築と運用にかかる人の費用、内製と外部支援の分け方、費用を抑えて小さく始める進め方と、費用が膨らむよくある失敗を解説します。

データ基盤の費用の内訳

データ基盤とは、社内外に散らばったデータを1か所に集め、誰もが同じ定義の数字を使えるようにする仕組みです。費用は、次の3つに分けて考えます。

費用 内容 かかり方
ツールの利用料 データの取り込み、保存と集計、BI・AIなどの利用料 毎月。使う量や人数に応じて増える
構築の費用 目的と指標の整理、テーブルの設計、取り込みとSQLの整備 最初の数か月に集中する
運用の費用 データの追加、定義の見直し、障害への対応、権限と費用の管理 毎月。使う部門が増えると増える

ツールの利用料は、公式の料金と使う量から見積もれます。構築と運用の費用は、扱うデータの種類と、社内でどこまで担うかで大きく変わります。

ツールの月額の試算例

広告2媒体(Google広告・Meta広告)、GA4、CRMのデータを集め、マーケティングの5人がダッシュボードとClaudeを使う場合の例です。単価は、2026年10月時点の各社の公式の料金にもとづいています。

項目 前提 月額(例)
Fivetran(Google広告・Meta広告) 無料プラン(毎月50万MARまで)。この例は約12万MAR 0ドル
BigQuery(クエリ) 月3TiBを処理。無料枠1TiBを引いた2TiB × 7.50ドル 15.00ドル
BigQuery(保存) 50GiBを保存。無料枠10GiBを引いた40GiB × 0.023ドル 0.92ドル
Dataform 無料(クエリの費用はBigQueryに含む) 0ドル
Looker Studio 無料版 0ドル
Claude Teamプラン Standardシート5人 × 20ドル(年払い) 100.00ドル
合計 約116ドル

Fivetranの広告2媒体のMARは、料金ページに掲載されている、従業員1〜200名の企業の利用量の中央値(Google広告88,240MAR、Meta広告34,479MAR)を使いました(Fivetranの料金(別タブで開く))。合計は約12万MARで、無料プランの範囲(毎月50万MAR)に収まります。

無料プランは、接続の数とユーザー数に制限がなく、15分ごとの同期もできます(Fivetran Free Plan(別タブで開く))。

CRMなどの接続を足して毎月50万MARを超えると、有料プランが必要です。料金ページに掲載されている有料プラン(Standard)の月額の中央値は、Google広告が48.67ドル、Meta広告が22.06ドルです。

BigQueryの処理量と保存量は、試算のための仮の値です。実際の処理量は、ダッシュボードの数や閲覧の回数、AIからのクエリの量で変わります。

データ基盤の構成と、ツールごとの料金体系

ツールの利用料を見積もるには、データ基盤のどの部分に、どのツールを使うかを決める必要があります。データ基盤は「集める」「ためる」「整える」「使う」の4つの層で考えると分かりやすくなります。

データ基盤の4つの層を左から右へ示した図。広告・GA4・CRM(Salesforceなど)・EC(Shopifyなど)のデータソースから、FivetranとGA4のBigQuery Exportで集め、BigQueryにため、dbtやDataformで整え、Looker Studio・Claude・ChatGPTで使う

データ基盤の4つの層と主なツール

層ごとの課金の単位と、無料で使える範囲は次のとおりです。

層 ツール 課金の単位 無料で使える範囲
集める Fivetran 取り込んだ行数(MAR) 無料プランで毎月50万MARまで
ためる BigQuery クエリの処理量と保存量 毎月クエリ1TiB・保存10GiBまで
整える Dataform Dataform自体は無料 実行したクエリはBigQueryの料金
整える dbt(dbt platform) ユーザー数 Developerプラン(1人)は無料
使う Looker Studio 無料(Proは有料) 作成・閲覧は無料
使う Claude ユーザー数 個人向けの無料プランあり。Teamプランは有料

出典:Fivetranの料金(別タブで開く)、BigQueryの料金(別タブで開く)、Dataformの料金(別タブで開く)、dbtの料金(別タブで開く)、データポータルの料金(別タブで開く)、Claudeの料金(別タブで開く)(いずれも2026年10月時点)

集める:Fivetran

Fivetran(別タブで開く)は、広告媒体やCRMのデータを、画面上の設定だけで定期的に取り込めるデータ連携ツールです。2026年10月時点の料金ページでは、Standardプランで700以上のコネクタが使えると案内されています。

料金は、その月に追加・更新された行の数(MAR)にもとづく従量課金です。有料プランでは、月のMARが1〜100万の接続ごとに、5ドルの基本料金がかかります。

無料プランでは、毎月50万MARと、データの変換のモデル実行5,000回まで使えます(Fivetran Free Plan(別タブで開く))。

GA4とSearch Consoleには、BigQueryへ直接データを書き出す公式の機能があるため、Fivetranを使う必要はありません。

MARの数え方や、広告のコネクタでMARが増えやすい設定は「Fivetranとは?広告データ統合でできること・料金・始め方(別タブで開く)」で解説しています。

ためる:BigQuery

BigQueryは、集めたデータを保存し、SQLで集計するデータウェアハウスです。サーバーの管理が不要で、使った分だけ課金されます。

東京リージョンのオンデマンド料金は、処理したデータ1TiBあたり7.50ドルで、毎月1TiBまでは無料です。アクティブな論理ストレージは1GiB・1か月あたり0.023ドルで、毎月10GiBまでは無料です。

費用の多くは、クエリが読んだデータの量で決まります。ダッシュボードの更新や定期実行のクエリは回数が多いため、利用者が増えると費用も増えます。

整える:Dataform・dbt

取り込んだばかりのデータは、ツールごとに項目名や粒度が異なります。そこで、SQLで「日付 × 媒体 × キャンペーン」のような分析用の表を作ります。

このSQLを管理するツールが、Dataformとdbtです。

  • Dataform:Google Cloudのサービスで、BigQueryの画面の中で使えます。Dataform自体は無料で、実行したクエリにBigQueryの料金がかかります
  • dbt:dbt Labsが開発するツールで、オープンソースの実行環境があります(dbtのドキュメント(別タブで開く))。管理画面つきのdbt platformは、Developerプラン(1人・月3,000モデルまで)が無料、Starterプラン(5人まで・月15,000モデルまで)は1ユーザーあたり月100ドルです

BigQueryだけを使うなら、追加の費用がかからないDataformから始めるのが手軽です。

使う:Looker StudioとClaudeなどのAI

Looker Studioは、Googleが提供するBIツールで、作成・閲覧は無料です。チーム向けの管理機能とサポートがあるPro版は、1ユーザー・1プロジェクトあたり月9ドルです。

なお、2026年10月時点でLooker Studioは「データポータル」(英語名はData Studio)に名称が変わっています。本記事では、広く使われている「Looker Studio」の名称で説明します。

ClaudeなどのAIをBigQueryに接続すると、SQLを書かずに日本語で質問して集計・分析できます。ClaudeのTeamプラン(2〜150人)のStandardシートは、年払いで1人あたり月20ドル、月払いで月25ドルです。

接続の手順は「ClaudeとBigQueryを連携する方法|MCPの接続手順と分析例(別タブで開く)」で解説しています。

構築と運用にかかる人の費用

ツールの利用料が月数百ドル以内に収まっても、データ基盤は自動ではできあがりません。次のような作業に、人の時間がかかります。

時期 主な作業
構築 目的と指標の整理、データの取り込みの設定、テーブルの設計、指標の定義をSQLで書く、ダッシュボードの作成
運用 データの種類の追加、定義の見直し、取り込みの失敗への対応、権限と費用の管理、使い方の社内への説明

人の費用を左右するもの

構築と運用の工数は、主に次の点で変わります。

  • 扱うデータの種類:連携ツールのコネクタがないデータは、APIで取り込む仕組みを自前で作る必要がある
  • データどうしの結び付け:広告とCRM・自社のサービスのデータをつなぐには、広告のURLのパラメータや顧客IDの設計が要る
  • 定義の決まり具合:CVや売上の数え方が部門ごとに違うと、合意を取る時間がかかる
  • 個人情報の扱い:顧客のデータを含める場合は、権限と取り扱いのルールを先に決める

最初から多くのデータを扱うほど、構築の費用は増えます。対象を絞って始めると、初期の費用を抑えられます。

内製と外部支援の分け方

データ基盤には、次のような役割が必要です。

役割 内容
事業側の責任者 目的と指標を決め、使われ方を見て優先順位を付ける
データエンジニア データの取り込み、テーブルの設計、SQLの管理、権限の設定
分析担当者 ダッシュボードの作成、分析、AIの使い方の整備

従業員数十〜数百名の会社では、これらを専任で置けないことが多いです。そこで、役割ごとに内製と外部支援を分けます。

  • 社内に残すもの:目的と指標の決定、定義の最終判断、日々の分析。事業を知っている人でなければ決められない部分です
  • 外部に任せやすいもの:最初の設計と構築、パラメータや権限の設計、DataformやdbtのSQLの整備。経験があると早く、やり直しが少なくなる部分です

外部に任せる場合も、作って納品してもらうだけでは、社内で使い続けられません。定義やSQLの書き方を社内に残し、社内の担当者が自分でデータを引き出せる状態を目指します。

費用を抑えて小さく始める進め方

費用を抑えるには、すべてのデータを一度に集めず、使われる範囲から順に作ります。次の4つの順番で進めます。

データ基盤を作る4つの手順。STEP1 目的と指標を決める、STEP2 小さく始める、STEP3 定義をそろえる、STEP4 使われる形にする

費用を抑えたデータ基盤の進め方

手順1:目的と指標を決める

最初に、「誰が、何を判断するために、どの数字を見るか」を書き出します。

誰が 何を判断するか 見る数字
マーケティング 媒体ごとの予算配分 媒体別の費用・CV・商談数
営業 追うべきリードの優先順位 流入元別の商談化率・受注率
CS 解約防止の対象 利用状況と解約率

ここで決めた数字から逆算して、必要なデータと粒度を決めます。目的が決まらないままデータを集めると、使われない表に費用をかけることになります。

手順2:データを2〜3種類に絞って始める

最初に取り込むデータは、手順1で優先度の高い2〜3種類に絞ります。たとえば、マーケティングの集計の手間を減らすことが目的なら、まずは広告とGA4だけで始めます。

この規模であれば、ツールの利用料は無料枠や無料プランの範囲に収まることもあります。

最初の数か月で「集計の手作業がなくなった」という成果を示すと、次の投資について社内の合意を得やすくなります。

手順3:定義をそろえる

データを集めたら、CVや売上の数え方、日付の区切り方、媒体名の表記などを1つに決めます。

決めた定義はDataformやdbtのSQLとして書き、ダッシュボードもAIも同じ表を参照するようにします。定義が人の頭の中やスプレッドシートの数式に残っていると、担当者が替わったときに数字が変わります。

手順4:使われる形にする

毎日決まって見る数字はダッシュボードに、その場の疑問はClaudeなどのAIへの質問に、と使い分けます。

ダッシュボードは、明細の表ではなく、手順3で作った集計済みの表を読むようにします。読むデータ量が減り、BigQueryの費用も抑えられます。

ダッシュボードの作り方は「Claude Codeでダッシュボードを作成する方法|自動更新と社内共有(別タブで開く)」で紹介しています。

事例:広告とGAから小さく始めたTechouse様

株式会社Techouse様は、マーケティング担当者が1人だった2022年11月に、BigQueryを中心としたデータ基盤の構築に着手しました。

最初はGoogleアナリティクスと広告データに絞り、個人情報を含むサービスのデータは後から加えています。使い始めて1〜2か月で、主要なKPIを社内で決めた指標に沿って継続的に見られる状態になりました。

その後、Fivetranで主要な広告媒体の取り込みを自動化し、毎朝1時間近くかかっていたデータの取り込み作業は15〜20分になりました。

現在は、BigQueryに集めたデータやダッシュボードを、全社で15名ほどが日常的に使っています。

詳細は「毎朝1時間の広告データ取り込みを15〜20分に(別タブで開く)」をご覧ください。

費用が膨らむよくある失敗

失敗 起きること 防ぎ方
目的を決めずに集める 使われない取り込みと表に、利用料と工数がかかり続ける 誰が何を判断するかを先に決める
一度にすべてを作る 構築の費用が膨らみ、成果が見える前に止まる 2〜3種類のデータで始め、成果を示して広げる
定義を決めない 部門ごとの数字合わせに、運用の工数がかかり続ける 定義をSQLとして1か所に書く
費用と権限を管理しない 利用者が増えるにつれてBigQueryの費用が増え、誰が何を見ているか分からなくなる 処理量の上限と、部門・役割ごとの権限を決める

BigQueryの費用の出どころの調べ方と下げ方は「BigQueryの料金が高い原因と下げ方|クエリと保存の見直し手順(別タブで開く)」で解説しています。

事例:利用の拡大で増えたBigQueryの費用を見直したYOUTRUST様

キャリアSNS「YOUTRUST」を運営する株式会社YOUTRUST様では、BigQueryを使う部門が増えるにつれて、権限の管理が属人的になっていました。

不要なクエリの実行や、放置された定期実行のジョブなどにより、BigQueryの運用コストも想定以上に増えていました。

まずBigQueryの利用実態を可視化し、不要なクエリや定期実行のジョブを特定して、コストの構造を見直しました。あわせて部門・役割に応じた権限を設計し直し、dbtでデータを標準化しています。

新しい部署が利用に加わっても、同じルールで管理を広げていける状態になっています。

詳細は「データ基盤のコスト削減・権限管理・ガバナンスを同時に実現(別タブで開く)」をご覧ください。

事例:定義をそろえ、誰もが自分でデータを引き出せる状態にしたビビッドガーデン様

産直EC「食べチョク」を運営する株式会社ビビッドガーデン様では、GA4やRDSなど複数のシステムにデータが分散し、部門ごとに集計方法や定義が異なっていました。

データをBigQueryに集め、Dataformで粒度・命名・定義を統一し、BIツールのRedashで、エンジニアに依頼せずに各部門の担当者が自分でデータを引き出せる環境を整えました。

部門ごとの集計依頼や数値合わせの調整に使われていた時間がなくなっています。

詳細は「エンジニアに頼まずに、誰もが自分でデータを引き出せる状態に(別タブで開く)」をご覧ください。

まとめ

  • データ基盤の費用は、ツールの利用料、構築の費用、運用の費用の3つに分けて考える
  • 広告2媒体・GA4・CRMを集め、5人がダッシュボードとClaudeを使う例では、ツールの利用料は月約116ドル(2026年10月時点の公式の料金にもとづく試算)。Fivetranは無料プランの範囲(毎月50万MARまで)として0ドルで計算
  • BigQuery(毎月クエリ1TiB・保存10GiB)、Dataform、Looker Studioは無料で使える範囲があり、小さく始められる
  • 費用の中心は、構築と運用にかかる人の時間。扱うデータの種類、データどうしの結び付け、定義の決まり具合で変わる
  • 目的と指標を決め、2〜3種類のデータで小さく始めることで、初期の費用を抑えられる

株式会社INVOXは、データ基盤の構築、データ分析の支援、AIエージェントの開発を行っています。目的と指標の整理から、Fivetranでのデータの取り込み、BigQueryとDataform・dbtでのテーブルの設計、ダッシュボードやClaudeで使える環境づくり、費用と権限の管理までを支援しています。

支援の内容は「マーケティング分析(別タブで開く)」で紹介しています。BigQueryとDataformで統合したデータを、マーケティング部門がLooker Studioで自分で見られるようにした事例は「集計の手作業をなくし、マーケターが最新の統合データを見られる状態に(別タブで開く)」でご覧いただけます。

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