ETLとELTは、散らばったデータを1か所に集めるときの、作業の順番の違いです。どちらも、データを取り出し(Extract)、変換し(Transform)、データの保管場所に読み込む(Load)作業をします。
- ETL:取り出したデータを、先に変換してから読み込む
- ELT:取り出したデータを、そのまま読み込んでから、保管場所の中で変換する
Google Cloudは、ETLとELTの違いは「データを変換するタイミング」だと説明しています(ETL とは(別タブで開く))。BigQueryのドキュメントでは、「ほとんどの場合、ELT アプローチをおすすめします」と書かれています(データの読み込み、変換、エクスポートの概要(別タブで開く))。
本記事では、ETLとELTの違いと、BigQueryでELTが勧められる理由、リバースETL・ゼロETLとの違いを整理します。そのうえで、主なツールの料金の仕組みと、選ぶときの観点を紹介します。記載の料金と仕様は2026年10月時点の公式情報に基づきます。
ETL・ELTとは
ETL(Extract・Transform・Load)
ETLは、データを取り出したあと、保管場所に入れる前に変換する方法です。変換は、保管場所とは別のサーバーやツールで行います。
変換とは、たとえば次のような作業です。
- 媒体ごとに違う列の名前を、同じ名前にそろえる
- 日付の形式や通貨をそろえる
- 不要な列を落とし、日別・キャンペーン別などの粒度に集計する
保管場所には、整えたあとのデータだけが入ります。
ELT(Extract・Load・Transform)
ELTは、取り出したデータを、まずそのまま保管場所に読み込み、そのあと保管場所の中で変換する方法です。Fivetranは、ELTを「元のデータを保管先に直接読み込み、そのあとで変換する」ものと説明しています(ETL vs ELT(別タブで開く))。
BigQueryのようなデータウェアハウス(DWH)では、変換はSQLで書きます。SQLの管理には、dbtやDataformといったツールを使うことが多いです。

ETLとELTの違い
| ETL | ELT | |
|---|---|---|
| 変換する場所 | 保管場所の外のサーバー・ツール | 保管場所(DWH)の中 |
| 保管場所に入るデータ | 整えたあとのデータだけ | 元のデータと、整えたデータの両方 |
| 変換のやり直し | 元のデータを別に残していない場合は、取り出し直す必要がある | 保管場所にある元のデータから、何度でもやり直せる |
| 変換を書く言語 | ツールによる(画面での設定、Pythonなど) | 主にSQL |
| 向いている場面 | 保管場所の処理の力が小さい、規制で読み込む前の確認が必要、すでに変換の仕組みがある | クラウドのDWHを使う、データの量が多い、分析の定義がよく変わる |
Microsoftは、ELTとETLの違いは「変換をどこで行うか」だけだとしたうえで、ETLを選ぶ場面も挙げています。保管先の処理の力が足りない場合、変換のルールが複雑な場合、規制で読み込む前の確認が必要な場合です(Extract, transform, load (ETL)(別タブで開く))。
BigQueryでELTが勧められる理由
クラウドのDWHの処理の力を使える
Google Cloudは、データの量が多い場合はELTが向いているとしています。クラウドのDWHの処理の力を、変換にもそのまま使えるためです(ETL とは(別タブで開く))。
以前は、DWHの保存と計算の費用が高く、整えたデータだけを入れるETLが合理的でした。Fivetranは、クラウドによって保存と計算の費用が下がったことで、ELTが現実的になったと説明しています(ETL vs ELT(別タブで開く))。
元のデータが残るので、定義を変えても作り直せる
ELTでは、元のデータがDWHに残ります。AWSは、元のデータを必要なだけ何度でも変換し直せることを、ELTの利点に挙げています(ETL と ELT の違い(別タブで開く))。
マーケティングのデータでは、この点が効きます。たとえば「コンバージョンの数え方を変える」「新しい媒体を足して列をそろえ直す」といったとき、ETLで元のデータを残していない場合は、取り込みの処理から作り直す必要があります。ELTなら、DWHに残っている元のデータから、SQLで過去の分まで計算し直せます。
取り込みと変換を分けて管理できる
BigQueryのドキュメントは、ELTでは複雑なデータの統合を「抽出と読み込み」と「変換」の2つの管理しやすい部分に分けられるとしています。SQLに慣れた人は、読み込んだあと、Dataformなどで変換の処理を作れるとしています(データの読み込み、変換、エクスポートの概要(別タブで開く))。
取り込みはFivetranなどの専用のツールに任せ、変換は自社でSQLとして管理する、という分担がしやすくなります。
リバースETL・ゼロETLとの違い
リバースETL
Microsoftは、リバースETLを、分析のシステムで整えたデータを、CRMやMAなどの業務のツールやアプリに移す処理と定義しています(Extract, transform, load (ETL)(別タブで開く))。
たとえば、BigQueryで計算した顧客ごとの利用状況やスコアを、Salesforceの取引先の項目に毎日反映する、といった使い方です。具体例は「Salesforceに顧客の利用状況を自動で反映する方法(別タブで開く)」で解説しています。
ゼロETL
ゼロETLは、ETLのパイプラインを作る必要を最小限にする連携の仕組みです。AWSは、ゼロETLをそのような連携の集まりと説明しています(ゼロ ETL とは何ですか?(別タブで開く))。AWSでは、たとえばAmazon AuroraなどのデータベースからAmazon Redshiftへ、自動でデータを複製できます。
ETLという作業がなくなるわけではありません。取り込みの部分をサービスが代わりに行う、という意味です。
ETL・ELTの主なツール
取り込み(E・L)のツール
| ツール | 提供元 | 料金の仕組み | 料金の目安 |
|---|---|---|---|
| Fivetran | Fivetran(米国) | その月に追加・更新された行の数(MAR)に応じた従量課金 | Freeプランは毎月50万MARまで無料。有料プランでは、月のMARが1〜100万の標準の接続ごとに基本料金5ドル |
| TROCCO | primeNumber(日本) | 月の処理時間の枠 | Freeプランは月2時間まで無料。Starterは月7.5万円で30時間、Essentialは月15万円で250時間、Advancedは月30万円で600時間(いずれも税抜) |
| BigQuery Data Transfer Service | Google Cloud | 転送の種類ごと | Google広告などGoogleのサービスからの転送は、転送の費用が無料(データの統合の処理はBigQueryの通常の料金)。Salesforce・Meta広告などからの転送は、使った計算の量に応じた従量課金 |
| Airbyte | Airbyte(米国) | データの量・クレジット | Standardは月20ドルから。自社で運用できるオープンソース版もある |
| Coupler.io | Railsware | アカウントの数 | Freeプランあり。Starterは月32ドル(年払いなら月24ドル) |
出典:Fivetranの料金(別タブで開く)、TROCCOの料金プラン(別タブで開く)、BigQueryの料金(別タブで開く)、Airbyteの料金(別タブで開く)、Coupler.ioの料金(別タブで開く)(いずれも2026年10月時点)
GA4のデータは、ツールを使わず、GA4の管理画面からBigQueryへの書き出し(BigQuery Export)を設定して取り込むことが多いです。
料金の単位が、行の数、処理の時間、計算の量、アカウントの数とツールごとに違います。比べるときは、自社のデータの量で月額を試算します。
各ツールの詳しい使い方は、「Fivetranとは(別タブで開く)」と「Coupler.ioとは(別タブで開く)」で解説しています。
ほかに、クラウドのサービスとして、AWS Glue、Azure Data Factory、Google CloudのDataflow・Datastreamなどもあります。エンジニアが自社で処理を組む前提のサービスです。
変換(T)のツール
| ツール | 提供元 | 特徴 | 料金 |
|---|---|---|---|
| dbt | Fivetran + dbt Labs | SQLのSELECT文で変換を書き、テストやドキュメントも管理する。BigQuery・Snowflakeなど多くのDWHに対応 | 手元で動かす版は無料。管理画面つきのdbt platformは、Developerプラン(1人)が無料、Starterプランは1ユーザーあたり月100ドル |
| Dataform | Google Cloud | BigQueryの中で、SQLの変換を開発・テスト・定期実行する | 無料(実行したクエリの分はBigQueryの料金) |
出典:dbtの料金(別タブで開く)、Dataformの料金(別タブで開く)(2026年10月時点)
Fivetranは、2026年6月1日にdbt Labsとの合併を完了しました(Fivetranのプレスリリース(別タブで開く))。取り込みと変換の代表的なツールが、同じ会社の製品になっています。dbtについては「dbtとは(別タブで開く)」で解説しています。
ETL・ELTのツールの選び方
Fivetranは、ツールを選ぶ観点として、用途、コネクタ、使いやすさ、規模、データが届くまでの遅れ、総費用、監視とセキュリティを挙げています(ETL tools(別タブで開く))。マーケティングのデータを集める場合に、とくに確かめたい点は次のとおりです。
1. 使っているサービスに対応しているか
広告の媒体、GA4、CRM、決済のサービスなど、取り込みたいサービスがすべて対応しているかを確かめます。国内のサービス(Yahoo!広告・LINE広告、国内のEC・MAのツールなど)は、海外のツールでは対応していないことがあります。
対応していないサービスが1つでもあると、その分だけ別の方法で取り込む手間が残ります。
2. 自社のデータの量で月額がいくらになるか
料金の単位がツールごとに違うため、公開されている価格だけでは比べられません。無料の期間やプランで、実際のデータを取り込んで、月の量を確かめてから試算します。
ツールの料金に加えて、DWHの保存と計算の費用、設定と運用にかかる人の時間も入れて比べます。データ基盤全体の費用の目安は、「データ基盤の費用の目安(別タブで開く)」で試算しています。
3. 止まったときに気づけるか
取り込みは、媒体の仕様の変更やログインの期限切れで止まることがあります。止まったことに気づかないと、ダッシュボードの数字が古いまま使われます。Fivetranも、実行ごとの記録と通知があることを観点に挙げています。失敗したときの通知と、どこで止まったかを追えるかを確かめます。
4. 誰が変換を書くか
変換をSQLで書くELTでは、SQLを書ける人が必要です。社内にいない場合は、変換までツールの画面で設定できるETLのツールを選ぶか、最初の設計と変換の作成を外部に任せます。たとえばTROCCOには、テンプレートを使って変換を設定する機能(テンプレートETL)があります。
まとめ
- ETLとELTの違い:変換を、保管場所に入れる前にするか(ETL)、入れたあとに保管場所の中でするか(ELT)
- BigQueryではELT:Googleは、ほとんどの場合ELTを勧めている。クラウドのDWHの処理の力を使え、元のデータが残るので定義を変えても作り直せる
- リバースETL:DWHで整えたデータを、CRMなどの業務のツールに戻す
- ツール:取り込みはFivetran・TROCCO・BigQuery Data Transfer Serviceなど、変換はdbt・Dataform。料金の単位が違うので、自社のデータの量で試算する
ETL・ELTのツールは、データを集める手段です。何のために、どの指標を見るのかが決まっていないと、データは集まっても使われません。
株式会社INVOXは、データ基盤の構築、データ分析の支援、AIエージェントの開発を行っています。目的と指標の整理から、Fivetranなどでの取り込み、BigQueryとdbt・Dataformでの変換、ダッシュボードやClaudeで使える環境までを支援しています。
「どのツールでデータを集めるか決めたい」「取り込みは動いているが、変換の定義がばらばら」といった課題をお持ちでしたら、お問い合わせください。進め方は「データ基盤の構築の進め方(別タブで開く)」でも解説しています。




