「広告・GA4・CRMのデータを繋いで分析したいが、社内に担当できる人がいない」。こうしたときに検討するのが、データ分析やデータ基盤の構築の外注です。
ただ、「データ分析の支援」をうたう会社は多く、得意なことはそれぞれ違います。依頼先を選び間違えると、ダッシュボードはできたが誰も使わない、データは集まったが分析は社内でできない、ということが起こります。
本記事では、データ分析を外注するときの支援会社の選び方を解説します。依頼先の種類と得意なこと、依頼の前に決めておくこと、契約前に確かめる10の質問、サブスク・SaaSの事業で特に確かめたいことをまとめます。
データ分析の支援会社の種類
データ分析の支援会社は、おおまかに次の4つに分けられます。
| 種類 | 得意なこと | 注意すること |
|---|---|---|
| コンサルティング会社 | 事業の課題の整理、KPIの設計、分析の方針づくり | データの統合やツールの構築は別の会社に頼む場合がある |
| データエンジニアリング会社 | データ基盤の構築、データの取り込みの自動化、BigQueryなどの設計 | 事業の指標の定義や、分析の結果の使い方までは支援しない場合がある |
| 広告代理店 | 広告の運用と、広告の成果の分析 | 分析の範囲が広告の中に限られやすい。継続や売上のデータまでは扱わない場合がある |
| ツールベンダー | 自社のツールの導入と使い方の支援 | 分析できることがそのツールの機能の範囲に限られる |
実際には、複数にまたがる会社も多くあります。会社の分類よりも、自社が頼みたい範囲をどこまで一貫して任せられるかで比べるのが確実です。
依頼の前に決めておくこと
何を判断するために分析したいか
「データを活用したい」だけでは、依頼先も提案の比べようがありません。分析の結果を使って、何を判断したいかを決めておきます。
- 広告の予算を、どの媒体にどれだけ配分するか
- 解約を減らすために、どの顧客にいつ連絡するか
- どの営業の進め方が受注につながっているか
どこまでを任せ、どこからを社内でやるか
データ分析の仕事は、おおまかに次の段階に分かれます。
- データの統合:広告・GA4・CRM・決済などのデータを1か所に集める
- 定義と設計:LTVや解約率などの指標の定義、集計の決めごと
- 可視化と分析:ダッシュボード、レポート、分析
- 定着:社内の人が自分で数字を見て、判断に使える状態にする
すべてを任せるのか、データの統合だけを任せて分析は社内でやるのかで、選ぶべき依頼先は変わります。
予算の目安
外注の費用は、構築の費用と、ツールの月額、運用の費用に分かれます。データ基盤のツールの月額の目安は、「データ基盤の費用の目安(別タブで開く)」で試算しています。
契約前に確かめる10の質問
提案を比べるときは、次の質問への答えを確かめます。
| # | 質問 | 確かめたいこと |
|---|---|---|
| 1 | 自社と近い業種・事業の形の支援実績はあるか | 事業の指標や、よくある課題の理解 |
| 2 | データの統合から分析・定着まで、どこまでを支援範囲とするか | 途中で別の会社を探す必要がないか |
| 3 | 指標の定義(LTV・解約率・CPAなど)を一緒に決めてくれるか | 数字の意味が社内でそろうか |
| 4 | APIが無いツールや媒体のデータは、どう取り込むか | 取り込めないデータが残らないか |
| 5 | 構築したデータやコードは、誰のアカウントに置かれるか | 契約が終わっても自社で使い続けられるか |
| 6 | 社内にエンジニアがいなくても運用できるか | 納品後に止まらないか |
| 7 | 生成AI(ChatGPT・Claudeなど)で分析できる環境まで作れるか | 社内の人がSQLを書かずに分析できるか |
| 8 | 最初の成果が出るまでの期間はどれくらいか | 小さく始めて確かめられるか |
| 9 | 費用は、構築・ツールの月額・運用に分けると、それぞれいくらか | 見えにくい費用がないか |
| 10 | 納品後の改善や、使われているかの確認まで支援するか | 作って終わりにならないか |
特に5は見落とされがちです。データ基盤やダッシュボードが依頼先のアカウントに作られていると、契約を終えたときに使えなくなります。自社のGoogle Cloudなどのアカウントに構築してもらうのが安全です。
サブスク・SaaSの事業で特に確かめたいこと
継続課金の事業では、広告の成果を、獲得の時点の数字(CPA)だけでなく、その後の継続や売上で評価する必要があります。依頼先には、次のことを確かめます。
- 広告と決済・解約のデータを繋げられるか:媒体ごとの継続率やLTVを出すには、広告の流入元と、決済サービス(Stripeなど)の売上・解約を顧客ごとに紐づける必要があります(「LTVの計算方法(別タブで開く)」)
- 継続課金の指標を扱えるか:MRR・NRR・解約率・コホート分析など、サブスクならではの指標の定義に慣れているか(「MRRとは?計算方法とARRとの違い(別タブで開く)」「コホート分析のやり方(別タブで開く)」)
- 年額プランやトライアルの扱いを決められるか:年額プランや無料トライアルの扱いで、MRRや解約率は大きく変わります
生成AIで分析できる環境まで作るか
これまでのデータ分析の外注では、依頼先がダッシュボードを作り、社内はそれを見る、という形が一般的でした。この形では、ダッシュボードにない切り口で見たいときに、そのたびに依頼が必要になります。
最近は、統合したデータにClaudeやChatGPTなどの生成AIを接続し、社内の人が普段の言葉で質問して分析できる環境を作る方法もあります(「Claudeでデータ分析する方法(別タブで開く)」)。依頼先がこうした環境まで作れるかも、比べるときの観点になります。
当社(INVOX)の支援
参考として、当社の支援の範囲を紹介します。
INVOXは、サブスク・SaaSなど継続課金の事業を中心に、これまでに30社以上の事業会社で、データ基盤の構築と、マーケティング・カスタマーサクセス・セールスのデータ活用を支援してきました。主にBigQueryで広告・GA4・CRM・決済などのデータを統合し、生成AIやダッシュボードで分析できる状態から、社内での定着までを一貫して支援しています。
- 10〜15媒体の広告データをBigQueryに統合し、毎朝1時間の取り込み作業を15〜20分にした事例(「株式会社Techouse(別タブで開く)」)
- 顧客・購買データを統合し、LTVの予測とロイヤルカスタマーの分析を実装した事例(「GOOPASS株式会社(別タブで開く)」)
ほかの事例は支援実績(別タブで開く)に、サービスの内容はマーケティング分析(別タブで開く)にまとめています。
まとめ
データ分析を外注するときは、会社の分類よりも、自社が任せたい範囲を一貫して支援できるかで比べます。
- 依頼の前に:何を判断するための分析か、どこまでを任せるかを決める
- 比べるときに:近い事業の支援実績、支援の範囲、データの置き場所、運用できる体制を確かめる
- サブスク・SaaSでは:広告と決済・解約のデータを繋げられるか、継続課金の指標を扱えるかを確かめる
契約前に10の質問への答えを並べて比べると、依頼先の違いがはっきりします。




