「リードが多すぎて、インサイドセールスが全件に同じ熱量で対応できない」「スコアは設定してあるが、点数の高いリードが本当に商談になっているのか分からない」。セールスやマーケティングの責任者から、このような声をよく聞きます。
どのリードから対応するかを決めるために、リードに点数をつけるのがリードスコアリングです。
ただし、「料金ページを見たら10点」「デモ依頼なら20点」のように、点数を経験と勘で決めているケースが少なくありません。その点数が、実際に商談化や受注につながるリードを見分けられているかは、確かめないと分かりません。
本記事では、過去のリードが商談化・受注したかどうかのデータから、どの項目が商談化・受注を分けるかを集計し、配点を決めて検証する手順を紹介します。
あわせて、デモ用のデータでの分析例とプロンプト例、HubSpotやSalesforceへの反映方法、運用するときの注意点を説明します。記載の仕様は2026年10月時点の公式情報に基づきます。
リードスコアリングとは
リードスコアリングは、リードの属性や行動に点数をつけ、その合計で対応の優先順位を決める方法です。
点数をつける項目は、大きく2種類に分かれます。
| 種類 | 項目の例 | 分かること |
|---|---|---|
| 属性 | 企業規模、業種、役職、最初の流入元 | 自社の顧客になりやすい相手か |
| 行動 | フォームの種類(資料ダウンロード・デモ依頼など)、閲覧したページ(料金・事例など)、閲覧回数、メールの開封 | いま、どれだけ検討が進んでいるか |
インサイドセールスは、点数の高いリードから連絡し、点数の低いリードはメールでの情報提供を続ける、のように対応を分けます。マーケティングは、点数が一定を超えたリードを営業に渡す基準として使います。
勘で点数を決めると起きること
項目と点数を経験と勘で決めると、次のことが起きます。
- 点数が高いリードが、商談になるとは限らない:「料金ページを見たリードは検討が進んでいる」という前提が、自社のデータで成り立っているかは分からない
- 点数を見直す根拠がない:「デモ依頼の点数を上げるべきか」の議論が、担当者の印象の言い合いになる
- 営業がスコアを信用しなくなる:点数の高いリードに連絡しても商談にならない経験が続くと、スコアは見られなくなる
リードスコアリングの目的は、商談化や受注につながるリードを先に見つけることです。点数は、過去に商談化・受注したリードと、しなかったリードの違いから決めます。
データから配点を決める手順
配点は、次の5つの手順で決めます。
- 予測したい結果を決める:商談化か、受注か。インサイドセールスの優先順位づけなら、まず商談化。受注額に差が大きい商材なら「見込める受注額=商談化率×受注率×平均受注額」を結果にする
- 項目を洗い出す:CRMにある属性と、サイトのアクセスデータやフォームから取れる行動を並べる
- 期間を「学習期間」と「検証期間」に分ける:配点は学習期間のリードだけで決め、検証期間のリードで当たるかを確かめる
- 項目ごとの差から点数をつける:区分ごとの商談化率と、全体の商談化率の差を点数にする。件数の少ない区分には点数をつけない
- スコア帯ごとの実際の商談化率を確かめる:検証期間のリードを点数で分け、点数の高い帯ほど商談化率が高いかを見る
手順4の点数のつけ方は、「全体との差1ポイントで1点」のような単純なもので構いません。大切なのは手順5で、学習期間で見えた差が、別の期間でも再現するかを確かめることです。
分析例:デモ用のデータで配点を決め、検証する
分析例では、学習期間で決めた配点が検証期間では当たらなかった例を示します。検証を省くとどうなるかと、そのときに何で優先順位を決めるかが分かります。
ここでは、中小企業向けの人事労務SaaSを想定したデモ用のデータで、CRMのリード・商談と、サイトのアクセスデータから、配点を決めて検証した例を示します。
リード・商談・受注の数え方は「営業の歩留まり分析のやり方(別タブで開く)」と同じで、2025年5〜12月に作成されたリード5,115件(商談化率20.4%)が対象です。このうち5〜8月に作成された2,225件を学習期間、9〜12月に作成された2,890件を検証期間としました。
項目は、属性が企業規模と最初の流入元、行動がフォームの種類、フォームを送った訪問で最初に見たページ、その訪問のページビュー数の、計5つです。
手順4:項目ごとの商談化率から配点を決める

Claudeで作成した、項目ごとの商談化率と配点(デモ用のデータ)
学習期間の商談化率は、全体で20.4%です。区分ごとに、この20.4%との差1ポイントを1点とし、商談が30件未満の区分は0点にしました。
最も点数が高くなったのは、企業規模の「501名以上」で、商談化率27.5%(+7点)です。次は、ホワイトペーパーのページから来たリードの25.0%(+5点)でした。
一方、検討が進んでいると考えがちな「デモ依頼」のリードは19.5%(-1点)、料金・トライアル・デモのページから来たリードは16.7%(-4点)と、全体より低く出ています。ただし、この差が別の期間でも出るかは、手順5で確かめます。
手順5:検証期間で、スコア帯ごとの商談化率を確かめる

Claudeで作成した、スコア帯別の商談化率の検証(デモ用のデータ)
5項目の点数を合計し、学習期間のスコアを3等分する境目(-1点と1点)で、高(2点以上)・中(0〜1点)・低(-1点以下)の帯に分けました。同じ点数のリードが多いため、帯の件数はそろっていません。
学習期間では、高の帯の商談化率は26.0%、低の帯は17.8%と、8ポイント以上の差があります。同じ配点を検証期間のリードに当てはめると、高の帯は19.4%、低の帯は20.5%で、高の帯のほうがむしろ低くなりました。
学習期間で見えた差の多くは、偶然のばらつきだったと考えられます。最も点数の高かった「501名以上」も、学習期間のリードは182件しかなく、検証期間の商談化率は17.9%に下がっています。
このように、学習期間の差をそのまま配点にすると、学習期間のデータにだけ当てはまるスコアができてしまいます。これを「過学習」と呼びます。
一方で、企業規模による平均受注額の差は、どちらの期間でも再現しました。50名以下の76万〜84万円から、501名以上の240万〜248万円まで、規模の順に並んでいます。
このデータから言えるのは、次の2つです。
- 今回の5項目では、商談化しやすさを分ける項目は見つかりませんでした。このデータでは、5項目の点数で優先順位をつけても、商談化率の高いリードを先に選べません。実際の企業のデータでは、行動の項目で商談化率に差が出ることもあります。差が出た場合も、検証期間で再現するかを確かめてから配点に使います
- 受注したときの金額は、企業規模で大きく変わります。5〜12月のリード全体で、リード1件あたりの見込み受注額(商談化率×受注率×平均受注額)を計算すると、50名以下が約3.9万円、51〜200名が約6.2万円、201〜500名が約9.3万円、501名以上が約11.1万円です。このうち、両方の期間で同じ順に並んだのは平均受注額だけで、検証期間だけで計算すると501名以上は約6.4万円と、201〜500名を下回ります。対応の優先順位は、別の期間でも再現した平均受注額(企業規模)を中心に決め、商談化率の差は見込みに入れすぎないのが妥当です
どの項目も再現しない場合は、属性(企業規模)だけのスコアから始め、行動のデータを増やしてから見直します。後述するHubSpotのリードスコアリングツールなら、属性にもとづく「フィットスコア」として設定できます。
Claudeで配点を集計・検証する方法
配点を決めて検証するのに必要なデータは、次の3つです。
- リード:作成日、企業規模、最初の流入元、担当者
- 商談:どのリードから生まれたか、受注・失注、金額
- 行動:フォームの種類、閲覧したページ、閲覧回数。CRMのフォーム送信やWeb閲覧の記録、またはサイトのアクセス解析のデータ
HubSpotの公式コネクタで集計する
HubSpotを使っている場合は、HubSpotが提供するClaude用の公式コネクタで、コンタクトや取引を集計できます。接続の手順と、コネクタで答えられる問い・答えにくい問いは「ClaudeでHubSpotのデータを分析する方法|接続手順と限界(別タブで開く)」で解説しています。
リードスコアリングの検証は、コンタクトの属性・行動と、取引の結果をまたぐ集計です。2026年10月時点のHubSpotのMCPサーバーは、テーブルの結合や関連付けをたどる集計に対応していないため、Claudeがレコードを取り出して突き合わせることになります(Integrate AI tools with the HubSpot MCP server - HubSpot Developers(別タブで開く))。リードが数百件程度なら対応できます。
件数が多い場合は、BigQueryに集めて集計する
リードが数千件ある場合や、サイトのアクセス解析のデータとあわせて見たい場合は、CRMとアクセス解析のデータをBigQueryなどのデータウェアハウスに集めて、Claudeから集計します。本記事の分析例も、この形でリード・商談・サイトのアクセスデータを突き合わせています。
BigQueryのデータをClaudeから参照する手順は「ClaudeとBigQueryを連携する方法|MCPの接続手順と分析例(別タブで開く)」で解説しています。
プロンプト例
前提を決めておく
リードスコアリングの集計は、期間の区切り方や、件数の少ない区分の扱いで結果が変わります。前提をファイルにまとめ、Claudeの「プロジェクト」に入れておけば、プロジェクト内のどのチャットでも同じ前提で答えます(What are projects? - Claude Help Center(別タブで開く))。
前提の例
・予測したい結果は商談化。商談化率は商談数 ÷ リード数
・学習期間は5〜8月、検証期間は9〜12月に作成されたリード。配点は学習期間だけで決める
・配点は、区分の商談化率と全体の商談化率の差1ポイントで1点。商談が30件未満の区分は0点
・リードの作成から商談・受注の結果が出そろうまでの日数がたっていない期間は対象にしない
・データで確かめたことと、推測は分けて書く
指示の例
プロンプト例(項目ごとの差)
学習期間のリードを、企業規模・最初の流入元・フォームの種類・最初に見たページ・ページビュー数で分けて、区分ごとのリード数、商談数、商談化率、全体との差、リードからの受注率を表にしてください。前提のルールで配点も出してください。
プロンプト例(検証)
学習期間で決めた配点を、検証期間のリードに当てはめてください。合計点で高・中・低の3つの帯に分け、帯ごとのリード数と実際の商談化率・受注率を、学習期間と検証期間で並べてください。点数の高い帯ほど商談化率が高いかを判断してください。
プロンプト例(項目ごとの再現性)
配点が±3点以上の区分について、学習期間と検証期間の商談化率を並べ、差が同じ向きに出ているかを示してください。あわせて、平均受注額も期間ごとに比べてください。
プロンプト例(見直し)
直近の四半期に作成されたリードについて、いまのスコア帯ごとの商談化率を出してください。前の四半期と比べて、帯の間の差が縮んでいないかを確かめてください。
CRMにスコアを反映する
配点が決まったら、スコアをCRMの項目として持たせ、インサイドセールスが普段の画面で見られるようにします。
HubSpotのリードスコアリングツール
HubSpotには、コンタクト・会社・取引に点数をつける「リードスコアリングツール」があります。2026年10月時点のナレッジベースでは、次のように案内されています(Overview of the lead scoring tool - HubSpot ナレッジベース(別タブで開く))。
- 行動にもとづく「エンゲージメントスコア」、属性にもとづく「フィットスコア」、両方を合わせた「結合スコア」を作れる
- コンタクトのスコアにはMarketing HubのProfessional・Enterprise、会社のスコアにはMarketing HubかSales HubのProfessional・Enterprise、取引のスコアにはSales HubのProfessional・Enterpriseが必要
- スコアはプロパティとして保存され、ビュー、セグメント、ワークフロー、レポートで使える。点数の範囲で、高・中・低などのラベルもつく
- 古い行動の点数を、期間がたつごとに減らす設定(スコアの減衰)がある
Claudeで決めた配点は、このツールの条件と点数として設定できます。分析例のように属性だけのスコアから始める場合は、フィットスコアとして作ります。ナレッジベースでは、AIでコンタクトのスコアを作る機能も案内されていますが、Marketing Hub Enterpriseが必要です。
Salesforceに反映する
Salesforceを使っている場合は、リードや取引先にスコアを入れる項目を作り、BigQueryなどで計算したスコアを自動で書き込む方法があります。
仕組みと、反映する項目や更新の頻度など社内で決めることは「Salesforceに顧客の利用状況を自動で反映する方法(別タブで開く)」で解説しています。
リードスコアリングの注意点
件数の少ない項目には、点数をつけない
区分のリードが数百件でも、商談化率は偶然だけで数ポイント動きます。分析例の「501名以上」はリード182件で、商談化率27.5%には、95%信頼区間で前後6.5ポイントほどの幅がありました。
商談が30件未満のように基準を決め、それより少ない区分は0点にするか、近い区分とまとめてから点数をつけます。件数の基準を満たしても、全体との差が信頼区間の幅(501名以上なら±6.5ポイント)より小さい区分には点数をつけないか、検証期間で同じ向きの差が出た区分だけに点数をつけます。
項目を増やしすぎない
項目と区分を増やすほど、偶然で大きな差が出る区分も増えます。分析例では21の区分を比べており、差がないデータでも、そのうちいくつかは大きな差があるように見えます。
点数をつけるのは、検証期間でも同じ向きの差が出た項目だけにします。
定期的に見直す
商品や料金、広告の出し方、サイトの構成が変わると、商談化しやすいリードも変わります。四半期に一度など時期を決めて、スコア帯ごとの商談化率を出し、帯の間の差が保たれているかを確かめます。
差が縮んでいたら、直近の期間を学習期間として、配点を決め直します。
スコアは優先順位づけに使い、合否には使わない
スコアは、どのリードから対応するかを決めるためのものです。点数が低いことを理由に、リードを対応の対象から外さないようにします。
分析例のとおり、点数の差が商談化率の差にならないこともあります。点数の低いリードにも、メールでの情報提供など、手間の少ない対応を続けます。
AIでデータを分析する方法の全体像は、「Claudeでデータ分析する方法(別タブで開く)」で解説しています。
まとめ
- リードスコアリングは、属性と行動に点数をつけ、対応の優先順位を決める方法。点数は勘ではなく、過去に商談化・受注したリードとしなかったリードの違いから決める
- 期間を学習期間と検証期間に分け、学習期間の商談化率の差から配点を決め、検証期間でスコア帯ごとの実際の商談化率を確かめる
- 分析例では、学習期間の差から作ったスコアは検証期間で再現せず、再現したのは企業規模による受注額の差だった。検証しないままの配点は、過学習のおそれがある
- 集計はHubSpotの公式コネクタや、BigQueryに集めたデータからClaudeで行える。スコアはHubSpotのリードスコアリングツールや、Salesforceの項目に反映する
- 件数の少ない区分には点数をつけず、定期的に見直し、スコアは合否ではなく優先順位づけに使う
株式会社INVOXは、データ基盤の構築、データ分析の支援、AIエージェントの開発を行っています。CRMのリード・商談と、サイトのアクセスデータを統合し、リードスコアリングの配点の検証や、スコアをCRMへ自動で反映する仕組みの構築も支援しています。
支援の内容は「セールスAI(別タブで開く)」で紹介しています。
「スコアを設定しているが、点数の高いリードが商談になっているか分からない」「配点の根拠をデータで示したい」といった課題をお持ちでしたら、お問い合わせください。




