データウェアハウス(DWH)は、複数のシステムからデータを集めて、分析とレポートに使うための保管場所です。Google Cloudは、POSの取引、マーケティング オートメーション、顧客管理などの複数のソースからのデータの分析とレポート作成に使う、企業のシステムと説明しています(データ ウェアハウスとは(別タブで開く))。
マーケティングでは、広告・GA4・CRM・決済などのデータをDWHに集めると、媒体を横断した集計や、広告から受注までを結びつけた分析ができるようになります。
本記事では、DWHとデータベース・データレイク・データマートとの違い、主な製品の料金の仕組み、マーケティングのデータをBigQueryに送る無料の仕組みを解説します。記載の料金と仕様は2026年10月時点の公式情報に基づきます。
データウェアハウスとは
AWSは、データウェアハウスを「より多くの情報に基づく意思決定を行うための、分析可能な情報のセントラルリポジトリ」と説明しています(データウェアハウスとは?(別タブで開く))。
ポイントは次の3つです。
- 複数のシステムのデータを1か所に集める:広告、GA4、CRM、決済、自社のサービスのデータベースなど
- 過去のデータも残す:今の状態だけでなく、過去の推移を比べられる
- 分析のために作られている:大量のデータを集計する問い合わせ(クエリ)を速く処理する
データベースとの違い
自社のサービスやCRMの裏側にあるデータベースも、データを保管します。違いは、何のために作られているかです。
| データベース(業務のシステム) | データウェアハウス | |
|---|---|---|
| 主な用途 | 注文の登録、会員情報の更新など、日々の処理 | 集計、分析、レポート |
| 得意な処理 | 1件ずつの読み書きを、速く大量にこなす | 多くの行を読んで、合計や平均を出す |
| データの持ち方 | 行ごとにまとめて保存する(行指向)ことが多い | 列ごとにまとめて保存する(列指向)ことが多い |
| 呼び方 | OLTP(オンライントランザクション処理) | OLAP(オンライン分析処理) |
BigQueryは、テーブルのデータを列ごとに分けて保存しています。分析の問い合わせは、多くの場合、テーブルの一部の列しか読まないため、列ごとに保存すると読む量が減ります(BigQuery のストレージの概要(別タブで開く))。
業務のデータベースで重い集計をすると、サービスそのものが遅くなるおそれがあります。分析用のデータは、DWHにコピーして集計します。
データレイク・データマート・レイクハウスとの違い
| 用語 | 何か | 入るデータ |
|---|---|---|
| データウェアハウス | 分析とレポートのために、整えたデータを集める場所 | 主に表の形のデータ(構造化データ) |
| データレイク | 元の形のまま、あらゆるデータをためる場所 | 表の形のデータに加え、画像・音声・ログなど |
| データマート | 特定の部署や目的のために、DWHから切り出した小さなまとまり | 部署で使うデータだけ |
| レイクハウス | データレイクに置いたデータに、DWHのように表として問い合わせられる仕組み | 両方 |
AWSは、データマートを「企業の財務部門、マーケティング部門、営業部門など、特定のビジネスユニットのニーズに対応するデータウェアハウス」、データレイクを「生データと非構造化データの中心的なリポジトリ」と説明しています(データウェアハウス、データレイク、データマートはどのように異なりますか?(別タブで開く))。
Google Cloudは、データレイクは未加工のデータ用、データウェアハウスは構造化された処理済みのデータ用、と整理しています(データレイクとデータ ウェアハウスの違い(別タブで開く))。
Microsoftは、データレイクは管理しないと、何が入っているかわからない「データの沼(data swamp)」になると注意しています。データレイクとDWHを組み合わせるレイクハウスの考え方にも触れています(What is a data lake?(別タブで開く))。
広告・GA4・CRM・決済のデータは、列の決まったデータです(GA4は入れ子の列を含みます)。BigQueryなどのDWHは、こうしたデータをそのまま扱えます。画像や音声を分析するのでなければ、当社はまずDWHから始めることを勧めています。データマートは、別の製品を用意しなくても、DWHの中に「マーケティング用のテーブル」として作れます。顧客ごとのデータをメールや広告に使う仕組み(CDP)との違いは「CDPとは(別タブで開く)」で解説しています。
主なクラウドのDWHと料金の仕組み
2026年10月時点の主な製品と、料金の単位は次のとおりです。料金は利用する地域(リージョン)によって違うため、東京の単価で並べています。
| 製品 | 提供元 | 料金の主な単位 | 料金の例 |
|---|---|---|---|
| BigQuery | Google Cloud | 読み込んだデータ量(オンデマンド)、または処理の能力(スロット)の時間 | 東京リージョンで1TiBあたり7.50ドル。毎月1TiBまで無料 |
| Snowflake | Snowflake | クレジット(処理の能力を使った時間に応じて消費) | Standardエディションで1クレジット2.85ドル(AWSの東京) |
| Amazon Redshift | AWS | Serverlessは処理の能力(RPU)の時間、プロビジョンド(台数を決めて借りる形)はノードの時間 | Serverlessで1RPU時間0.494ドル(東京) |
| Microsoft Fabric | Microsoft | 容量(CU)の時間 | 1CU時間0.21ドル(東日本) |
| Databricks SQL | Databricks | DBU(処理の量の単位)の時間 | 種類とクラウドによって異なる |
出典:BigQueryの料金(別タブで開く)、Snowflakeの料金表(別タブで開く)、Amazon Redshiftの料金(別タブで開く)、Microsoft Fabricの料金(別タブで開く)(いずれも2026年10月時点)
スロット・クレジット・RPU・CU・DBUは、どれも処理の能力を使った時間に応じて払う単位です。TiBは約1,100GBです。
料金の単位が製品ごとに違うため、公開されている単価だけでは比べられません。無料のトライアルで、自社のデータの量と、よく使う集計を試して、月額を見積もります。
BigQueryの無料枠
BigQueryには、毎月の無料枠があります。
- クエリ:毎月1TiBまで無料
- ストレージ:毎月10GiBまで無料
クレジットカードを登録しなくても試せる「サンドボックス」もあります。ただし、保存できるのは10GiBまでで、テーブルは60日で自動的に消え、データの転送(Data Transfer Service)は使えません(サンドボックスを使用して BigQuery を試す(別タブで開く))。
BigQueryの費用の調べ方と下げ方は「BigQueryの料金が高い原因と下げ方(別タブで開く)」で、BigQueryのできることと始め方は「BigQueryとは(別タブで開く)」で解説しています。
マーケティングのデータをBigQueryに送る無料の仕組み
Googleのサービスのデータは、ツールを使わずに、BigQueryに送る公式の仕組みがあります。
| データ | 仕組み | 注意点 |
|---|---|---|
| GA4 | BigQuery Export(GA4の管理画面で設定) | 標準(無料)のプロパティは、日次の書き出しが1日100万イベントまで。超え続けると書き出しが止まる。リンクした日から先のデータが書き出される |
| Search Console | 一括データエクスポート(Search Consoleの設定画面から) | お支払い情報を設定したGoogle Cloudのプロジェクトが必要。設定より前の分は書き出されない。データはたまり続けるので、有効期限を決めておく |
| Google広告 | BigQuery Data Transfer Service | 転送の費用は無料。取り込んだあとの処理には、BigQueryの通常の料金がかかる。過去の分も取り込める(バックフィル) |
出典:BigQuery Export を設定する(別タブで開く)、新しい一括データのエクスポートを開始する(別タブで開く)、Google Ads transfers(別タブで開く)、BigQueryの料金(別タブで開く)
Search ConsoleとGoogle広告の書き出しには、課金を有効にしたGoogle Cloudのプロジェクトが必要です(サンドボックスでは使えません)。
GA4とSearch Consoleは、設定した日から先のデータしか書き出されません。DWHを使うかどうか決める前でも、早めに設定しておくと、あとで過去と比べられます。Google広告は、設定したあとで過去の分も取り込めます。
Meta広告やHubSpotなど、Google以外のサービスのデータは、FivetranやTROCCOなどのツールで取り込むのが一般的です。BigQueryの転送の機能にも、Meta広告(有料)などのコネクタがあります。取り込みのツールの選び方は「ETL・ELTとは(別タブで開く)」で解説しています。
DWHを使うときの流れ
DWHは、データを集める仕組みと、使える形に整える仕組みと組み合わせて使います。
- 集める:各サービスのデータを、公式の書き出しの機能や取り込みのツールで、DWHに自動で送る
- 整える:列の名前や定義をそろえ、分析に使うテーブルを作る。SQLの管理にはdbtやDataformを使う(「dbtとは(別タブで開く)」)
- 使う:ダッシュボードで毎月の数字を見る。ClaudeなどのAIから、整えたテーブルに直接質問する(「ClaudeとBigQueryを連携する方法(別タブで開く)」)
全体の進め方は「データ基盤の構築の進め方(別タブで開く)」で、費用の目安は「データ基盤の費用の目安(別タブで開く)」で解説しています。
まとめ
- データウェアハウス(DWH):複数のシステムのデータを集め、分析とレポートに使う保管場所。列ごとに保存し、多くの行の集計を速く処理する
- データベースとの違い:データベースは日々の処理(1件ずつの読み書き)、DWHは集計・分析のために作られている
- データレイク・データマート:データレイクは元の形のまま何でもためる場所、データマートは部署や目的ごとに切り出したまとまり。当社は、マーケティングの分析はまずDWHから始めることを勧めている
- 主な製品:BigQuery、Snowflake、Redshift、Fabric、Databricks。料金の単位が違うので、自社のデータで試算する
- 無料の仕組み:GA4・Search Console・Google広告は、公式の仕組みでBigQueryに送れる。GA4とSearch Consoleは過去の分が書き出されないので、早めに設定する
株式会社INVOXは、データ基盤の構築、データ分析の支援、AIエージェントの開発を行っています。広告やGA4、CRMのデータをBigQueryに統合し、ダッシュボードやClaudeで使える環境の構築までを支援しています。
「どのDWHを選べばよいかわからない」「データは集めたが、分析に使えていない」といった課題をお持ちでしたら、お問い合わせください。




