ARPU(Average Revenue Per User)は、一定の期間に、1ユーザーあたりが生んだ平均の収益です。期間の収益を、同じ期間のユーザー数で割って求めます。
ARPU = 期間の収益 ÷ 同じ期間のユーザー数
計算は簡単ですが、分母に誰を入れるかで値が大きく変わります。無料のユーザーを入れるか、期末の人数か期間の平均か、を決めておかないと、同じ「ARPU」でも部署によって数字がずれます。
本記事では、ARPUの計算方法と、ARPPU・ARPAとの違い、MRR・LTVとの関係を整理します。そのうえで、サブスクのデモ用のデータを使い、ARPUとARPPUの推移と、MRRの伸びを会員数と単価に分けた例を紹介します。
ARPUとは
ARPUは、1ユーザーあたりがどれだけの収益を生んでいるかを表す指標です。Stripeは、一定の期間に1ユーザー(顧客)あたりが生む平均の収益と説明しています。期間は、月次・四半期・年次のどれでもよく、ユーザーの数え方は事業によって異なるとしています(What is average revenue per user (ARPU)?(別タブで開く))。
日本では、携帯電話の会社が決算で使う指標として知られています。たとえばNTTドコモは、ARPUを「1利用者当たり月間平均収入」としていました(2020年度第3四半期 決算説明資料(別タブで開く))。
サブスクリプション型の事業では、売上の伸びを「顧客の数」と「1人あたりの単価」に分けて見るときに使います。
ARPUの計算方法
基本の計算式
ARPU = 期間の収益 ÷ 同じ期間のユーザー数
月額のサブスクなら、月の収益にはMRR(月次経常収益)を使うのが一般的です。年額プランは12で割った月額で数えます。MRRの数え方は「MRRとは(別タブで開く)」で解説しています。
分母の取り方
ユーザー数は月の途中でも増減するため、どの時点の人数で割るかを決めておきます。
| 分母 | 計算 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 期間の平均 | (月初の人数 + 月末の人数)÷ 2 | 月の途中の増減が大きい事業。携帯電話の会社の決算 |
| 月末の人数 | 月末時点の人数 | 月末のMRRと合わせて見る場合 |
NTTドコモとソフトバンクは、決算の資料で、各月の数を月初と月末の平均で取ると明記していました。ドコモは「(前月末利用者数 + 当月末利用者数)÷ 2」、ソフトバンクは契約の数で「(月初契約数 + 月末契約数)÷ 2」です(ドコモ 2020年度第3四半期 決算説明資料(別タブで開く)、ソフトバンク 2017年度第1四半期 決算データシート(別タブで開く))。
どちらを使っても構いませんが、途中で変えると、前の月と比べられなくなります。
決めておくこと
| 項目 | 本記事での扱い |
|---|---|
| 無料のユーザー・トライアル中のユーザー | ARPUには入れる。ARPPUには入れない |
| 年額プラン | 年額を12で割って月額に換算する |
| 初期費用・スポットの売上 | 入れない(くり返し得られる収益だけで見る) |
| 1人が複数の契約を持つ場合 | 1人として数えるか、契約ごとに数えるかを決める |
無料のユーザーをARPUの分母に入れるかどうかは、出典によって違います。Paddleは無料のユーザーを含めますが、ChartMogulは無料プランやトライアルの顧客を含めません。ChartMogulは、複数の契約を持つ顧客を1人と数えるともしています(ARPA - ChartMogul Help Center(別タブで開く))。
ARPPU・ARPAとの違い
ARPUと似た指標に、ARPPUとARPAがあります。違いは分母です。
| 指標 | 正式名 | 分母 |
|---|---|---|
| ARPU | Average Revenue Per User | ユーザー(無料のユーザーを含めるかは、定義による) |
| ARPPU | Average Revenue Per Paying User | お金を払っているユーザーだけ |
| ARPA | Average Revenue Per Account | アカウント(契約している会社など)の数 |
Paddleは、ARPPUを有料ユーザーの売上 ÷ 有料ユーザー数とし、ARPUは無料のユーザーも含めて平均を取ると説明しています(Average revenue per paying user (ARPPU)(別タブで開く))。無料プランやトライアルがある事業では、ARPUはARPPUより低くなります。
ARPAは、主にBtoBのSaaSで使われます。1つの会社の中に複数のユーザーがいるため、ユーザーではなく契約しているアカウントの単位で数えます。一方、ChartMogulは、ARPAとARPUは同じ式で、区別せずに使われるとしています(ARPU - ChartMogul(別タブで開く))。この場合、ARPUの分母は有料の顧客です。
社内では、どの指標を何と呼ぶかを1つに決めておきます。同じ「ARPU」でも、有料のユーザーだけで割っている(ARPPUと同じ)場合があります。
MRR・LTVとの関係
MRR = 顧客数 × 1人あたりの単価
ARPPU(またはARPA)は、MRRを有料の顧客数で割ったものです。式を入れ替えると、MRRは顧客数と単価のかけ算になります。
MRR = 有料の顧客数 × ARPPU
MRRが伸びたとき、それが顧客が増えたからなのか、1人あたりの単価が上がったからなのかを、この式で分けて確かめられます。
LTV = ARPPU ÷ 解約率
LTV(顧客生涯価値)の簡易的な計算式でも、1人あたりの単価を使います。
LTV = 有料の顧客1人あたりの月の収益(ARPPU・ARPA) ÷ 月の解約率
ここで使うのは、有料の顧客の単価です。無料のユーザーを含めたARPUを有料の顧客の解約率で割ると、LTVが低く出ます。
ChartMogulは、LTVを、ARPAを直近6か月の平均の解約率で割って計算しています。ARPAを上げることと、解約率を下げることの両方が、LTVを高めるとしています(LTV - ChartMogul Help Center(別タブで開く))。
この式が実態とずれる場面と、継続率からLTVを予測する方法は、「LTVとは?計算方法と3つの式(別タブで開く)」で解説しています。
デモ用のデータでARPUを計算する
ここからは、当社が用意した架空の動画学習サービス「Lumina」のデモ用のデータで、ARPUとARPPUを計算した例を紹介します。月額・年額の2つの払い方と、Lite・Standard・Premiumの3つのプランがあり、14日間の無料トライアルがあります。MRRの記事と同じデータです。
決めごとは次のとおりです。
- 月の収益は、月末のMRR(年額プランは12で割った月額)
- 分母は月末の人数
- ARPPUは有料の会員で、ARPUは有料の会員とトライアル中の人の合計で割る
ARPUとARPPUの推移
2026年4月のARPPUは2,059円、ARPUは1,713円でした。有料の会員は3,933人、トライアル中の人は795人です。

Claudeで作成したARPUとARPPUの推移(デモ用のデータ)
ARPPUは、2025年7月以降、2,038円〜2,073円でほぼ横ばいです。一方、ARPUは、有料会員に対するトライアル中の人の割合で上下します。サービスを始めた2025年5月の約540円から、2026年4月には1,713円と約3倍になりましたが、これは有料会員が積み上がり、トライアル中の人の割合が下がったためです。
ARPUだけを見ていると、単価が上がったように見えても、実際は分母の構成が変わっただけ、ということが起こります。無料のユーザーやトライアルがある事業では、ARPUとARPPUを並べて見ます。
MRRの伸びを会員数と単価に分ける
2025年10月末から2026年4月末までに、MRRは462.5万円増えました。これを、会員数の増加と、1人あたりの単価の変化に分けます。
- 会員数の増加分:(4月末の会員数 − 10月末の会員数)× 10月末のARPPU
- 単価の変化分:4月末の会員数 ×(4月末のARPPU − 10月末のARPPU)
2つを足すと、MRRの増加にちょうど一致します。

Claudeで作成したMRRの増加の内訳とプラン別の会員(デモ用のデータ)
MRRの増加462.5万円のうち、461.9万円が会員数の増加によるもので、単価の変化は0.6万円でした。有料会員は1,688人から3,933人に増えた一方、ARPPUは2,057円から2,059円とほぼ変わっていません。
このデータでは、売上の伸びは会員数の増加に頼っており、1人あたりの単価はまだ伸ばせていません。単価を伸ばす余地を探すときは、プラン別の構成を見ます。
プランの構成が単価を決める
2026年4月末の有料会員のうち、年額プランは35.6%でした。年額プランは月額プランより1か月あたりの金額が低いため、プランの構成が同じなら、年額プランの割合が増えるとARPPUは下がります。たとえばPremiumは、月額プランが3,980円、年額プランが月あたり3,317円です。
年額プランは単価が低い代わりに、1年分を前払いで受け取れます。LTVで得かどうかは、最初の更新での継続率を見るまでわかりません。このデータは2025年5月に始まったサービスのため、年額プランの更新はまだ来ていません。ARPPUの上下だけで良し悪しを決めず、継続率とあわせて判断します。年額プランの継続の見方は、「コホート分析のやり方(別タブで開く)」で解説しています。
ARPUを上げる方法
ARPUを上げる方法として、決済や分析のサービスの会社は、次のようなものを挙げています(Stripe(別タブで開く)、ChartMogul(別タブで開く)、Paddle(別タブで開く))。
- 上位のプランへの移行(アップセル):段階のある料金体系にして、上位のプランへ移る理由をつくる
- 追加の機能やオプション:必要な人だけが買える追加の機能を用意する
- 価格の見直し:定期的に価格を見直す
- 単価の高い顧客の解約を防ぐ:単価の高い顧客が抜けると、ARPUは下がる
価格を見直したときは、見直しの前後でARPUと解約率を比べて効果を確かめます。 どれから手をつけるかは、データで決めます。上位のプランへの移行の兆しをデータで見つける方法は、「アップセルのタイミングをデータで決める方法(別タブで開く)」で解説しています。
なお、値上げでARPUが上がっても、解約が増えればMRRは減ります。ARPUを上げる施策は、解約率とMRRを一緒に見て評価します。
ClaudeでARPUを集計する方法
必要なデータ
- 契約のデータ:顧客ごとの契約の開始・プランの変更・休止・解約の日と、変更の前後の月額
- トライアルや無料のユーザーのデータ:ARPUの分母に入れる場合
- プランの価格表:月額・年額の定価
Stripeなどの決済サービスを使っている場合は、契約の変更の履歴から集計できます。接続の方法は、「ClaudeでStripeのデータを分析する方法(別タブで開く)」で解説しています。
前提として渡すこと
前提の例
・月の収益は、月末のMRR(税抜)。年額プランは年額を12で割った月額で数える
・ARPPUは、月末のMRR ÷ 月末の有料会員数
・ARPUは、月末のMRR ÷(月末の有料会員数 + 月末のトライアル中の人数)
・初期費用は入れない。月は日本時間で区切る
指示の例
プロンプト例
直近12か月について、月末のARPUとARPPUを計算し、推移を折れ線グラフで並べてください。有料会員数とトライアル中の人数も表にしてください。
プロンプト例
6か月前から今月までのMRRの増加を、会員数の増加分と、ARPPUの変化分に分けてください。会員数の増加分は(今月の会員数 − 6か月前の会員数)× 6か月前のARPPU、ARPPUの変化分は今月の会員数 ×(今月のARPPU − 6か月前のARPPU)で計算してください。
プロンプト例
今月末の有料会員を、プランと払い方(月額・年額)別に分け、人数・構成比・1人あたりのMRRを表にしてください。
結果を確かめる
- MRRと合っているか:ARPPU × 有料会員数が、月末のMRRと一致するかを確かめます
- 分母の定義を確かめる:ARPUの分母にトライアル中の人や無料のユーザーが入っているかを、集計したSQLで確かめます
まとめ
ARPUは、期間の収益を同じ期間のユーザー数で割った、1ユーザーあたりの平均の収益です。
- 分母:無料のユーザーを含めればARPU、有料のユーザーだけならARPPU、アカウントの単位ならARPA。期間の平均か月末かも決めておく
- MRRとの関係:MRR = 有料の顧客数 × ARPPU。MRRの伸びを、顧客数と単価に分けて確かめられる
- LTVとの関係:LTV = ARPPU ÷ 解約率。単価を上げることと解約を減らすことの両方がLTVを高める
- デモ用のデータの例:MRRの伸びのほとんどが会員数の増加で、ARPPUは横ばい。ARPUは分母の構成で大きく動く
ARPUを正しく出すには、契約・トライアル・請求のデータが、同じ定義でそろっている必要があります。決済のサービスと、アプリの利用のデータが別々のままでは、無料のユーザーを含めたARPUや、利用の状況と単価の関係までは見られません。
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「ARPUやLTVの定義が部署ごとに違う」「売上の伸びを顧客数と単価に分けて見たい」といった課題をお持ちでしたら、お問い合わせください。




