「ブログのPVは伸びているが、売上にどれだけ効いているのか説明できない」「どの記事に力を入れればよいのか、判断の材料がない」。BtoBのマーケティングの責任者から、このような声をよく聞きます。
BtoBでは、記事を読んでからフォームを送り、商談を経て受注するまでに、数週間から数か月かかります。PVやフォーム送信の数だけでは、記事が受注にどれだけ貢献したかは分かりません。
記事ごとの貢献を測るには、GA4のサイトのデータと、CRMの商談のデータをつなぐ必要があります。
本記事では、オウンドメディアの効果測定でよく見る指標と、その限界を整理したうえで、記事ごとにリード・商談・受注までを追う考え方と、GA4とCRMのデータをBigQueryに集めてClaudeで集計する方法を紹介します。
あわせて、デモ用のデータでの分析例とプロンプト例、集計するときの注意点を説明します。記載の仕様は2026年10月時点の公式情報に基づきます。
オウンドメディアの効果測定でよく見る指標と限界
オウンドメディアの効果測定では、次のような指標がよく使われます。
| 指標 | 分かること | 限界 |
|---|---|---|
| PV・セッション | 記事がどれだけ読まれたか | 読んだ人が見込み客かどうかは分からない |
| エンゲージメント(滞在時間・スクロール) | 記事がどれだけ読み込まれたか | 読み込まれても、問い合わせにつながるとは限らない |
| 検索順位・クリック数 | 検索でどれだけ見つけられているか | 流入の量は分かるが、その後の成果は分からない |
| コンバージョン(フォーム送信) | 記事からどれだけリードが生まれたか | リードの質(商談・受注になったか)は分からない |
PVやセッションは、記事の集客力を表す指標です。ただし、BtoBでは、PVの多い記事が、自社の顧客になる企業の担当者に読まれているとは限りません。
コンバージョンは、PVより成果に近い指標です。それでも、資料のダウンロードが多い記事のリードが、商談にほとんど進まないことがあります。フォーム送信の数だけで記事を比べると、受注につながらない記事を高く評価してしまいます。
BtoBのオウンドメディアの目的が売上であれば、最終的に見るべきなのは、記事から生まれたリードが、どれだけ商談になり、受注したかです。
検索語句ごとの表示回数・クリック数・掲載順位から、リライトする記事を選ぶ方法は「ClaudeでサーチコンソールとGA4を分析する方法(別タブで開く)」で解説しています。本記事では、その先の、記事が商談と受注にどれだけ貢献したかを扱います。
記事を商談・受注まで追う考え方
記事ごとに見る指標
記事ごとに、次の指標を並べます。
| 指標 | 計算式 | 分かること |
|---|---|---|
| リード数 | その記事に割り当てたフォーム送信の数 | 記事がどれだけリードを生んだか |
| 流入→リード | リード数 ÷ 流入(セッション) | 読者がどれだけフォームに進んだか |
| 商談数・受注数 | その記事のリードのうち、商談・受注になった数 | リードの質 |
| 受注額 | その記事のリードの受注額の合計 | 記事の売上への貢献 |
| 1万流入あたりの受注額 | 受注額 ÷ 流入 × 10,000 | 流入の多さに左右されない、記事の効率 |
受注額は、流入の多い記事ほど大きくなります。記事の数や流入の量が違うページどうしを比べるときは、1万流入あたりの受注額のように、流入で割った値もあわせて見ます。
リードをどの記事に割り当てるか
BtoBの読者は、何度かサイトを訪れ、複数の記事を読んでからフォームを送ります。1件のリードを、どの記事の成果として数えるかを決める必要があります。よく使われるのは、次の2つです。
- 最初に読んだ記事:その読者が初めてサイトに来たときの入口の記事。新しい見込み客を連れてきた記事を評価できる
- フォーム直前の記事:フォームを送る前に最後に読んだ記事。問い合わせの後押しをした記事を評価できる
同じデータでも、どちらで数えるかで記事の順位は入れ替わります。たとえば、検索から読まれる入門的な記事は「最初に読んだ記事」で、事例や料金のページは「フォーム直前の記事」で、高く出やすくなります。
どちらが正しいということはありません。新しい読者を増やしたいのか、問い合わせを増やしたいのか、目的に合わせて主に使う方を決め、もう一方も並べて見ます。
アシストの扱い
最初とフォーム直前の間に読まれた記事も、検討を進める役割を果たしています。この「アシスト」をどう扱うかも決めておきます。
アシストまで含めて受注額を記事に配分する方法もありますが、配分の重み付けによって結果が変わり、説明も難しくなります。
まずは「最初に読んだ記事」と「フォーム直前の記事」の2つで集計し、アシストは「受注したリードのうち、フォーム送信までにその記事を読んでいた割合」のように、別の指標として並べる方が、社内で説明しやすくなります。
分析例:記事ごとの商談・受注への貢献
ここでは、中小企業向けの人事労務SaaSを想定したデモ用のデータで、GA4のセッションとフォーム送信を、CRMの商談とつないで集計した例を示します。
5〜12月の流入とフォーム送信を対象に、4月30日時点の商談の状態で数えています。リードは、フォームを送った訪問の入口ページに割り当てました。このデモ用のデータは1人1回の訪問の記録のため、最初に読んだ記事とフォーム直前の記事は同じになり、アシストは数えられません。

Claudeで作成した、ページ群別の流入から受注まで(デモ用のデータ)
この例では、流入は18万9,413セッション、リードは5,115件、そのうち270件が受注し、受注額は3億5,079万円でした。
流入からリードへの率は、どのページ群も2.5〜2.8%で、ほぼ同じです。フォーム送信の数だけを見ると、ページ群の間に差はありません。
一方、1万流入あたりの受注額は、ブログ記事が2,313万円と最も高く、事例は1,281万円でした。ブログ記事は、流入の38%に対して、受注額の48%を占めています。
事例のページは、検討の後半に読まれることが多いページです。実際のデータでは、フォームを送った訪問の入口ページで数えると、それより前の訪問で読まれた事例の貢献は、この数え方には入りません。事例を評価するときは、アシストの指標もあわせて見ます。

Claudeで作成した、PVの多い記事と受注額の多い記事(デモ用のデータ)
ブログ記事と事例の13ページを、PVの順位と受注額の順位で並べると、順位は入れ替わりますが、後で説明するとおり、差の多くは偶然の範囲です。
PVが最も多い「事例:製造業(500名)」は、受注が3件、受注額は338万円で、13ページの中で最も少なくなりました。受注額が最も多いのは「社会保険の手続きが遅れる原因」(受注17件・2,267万円)で、PVは9位です。
PVは、どの記事も7,118〜7,407で、差は4%しかありません。PVの順位を見ても、どの記事が受注に貢献しているかは分かりません。
ただし、記事ごとの受注は3〜18件と少なく、数件の違いで順位が入れ替わります。表の「偶然の幅」は、どの記事も全体と同じ受注率(5.3%)だったと仮定したときに、偶然で出る受注件数の範囲(95%)です。
この幅を外れたのは「事例:製造業(500名)」だけです。13記事を比べると、1記事程度は偶然でも外れます。ほかの記事の順位の差も、偶然でも起こりうる大きさでした。製造業の事例も、次の期間で同じ傾向が続くかを確かめてから、リライトや導線の見直しを判断します。
Claudeで記事ごとの貢献を集計する方法
必要なデータ
記事ごとの貢献を集計するには、次の3つのデータが必要です。
- GA4のイベント:どのユーザーが、いつ、どのページを見たか。BigQueryに書き出したデータには、ブラウザごとのID(
user_pseudo_id)と、ページのURL(page_location)が含まれます - フォーム送信:どのユーザーが、いつ、どのフォームを送ったか。CRMのコンタクトと、GA4のユーザーをつなぐキーを持たせる
- CRMの商談:コンタクトごとの商談の有無、ステージ、受注・失注、金額
GA4の画面でも、ランディングページ別のコンバージョンは見られます。ただし、CRMの商談はGA4に入っていないため、記事ごとの受注額は、GA4だけでは出せません。
GA4とCRMのデータをBigQueryに集める
GA4のデータは、管理画面の設定でBigQueryに毎日書き出せます。設定の手順と、Claudeとの接続は「ClaudeでGA4を分析する方法(別タブで開く)」で解説しています。
CRMのデータも、同じBigQueryに集めます。HubSpotのデータをBigQueryに集める構成は「ClaudeでHubSpotのデータを分析する方法(別タブで開く)」で解説しています。
BigQueryをClaudeのコネクタとして接続すると、Claudeが自らSQLを作成・実行し、GA4とCRMのデータをまたいで集計します。接続の手順は「ClaudeとBigQueryを連携する方法(別タブで開く)」で解説しています。
フォームとCRMをつなぐキーを用意する
GA4のユーザーと、CRMのコンタクトをつなぐには、両方に同じキーが入っている必要があります。
Googleは、メールアドレスなどの個人情報をGoogle アナリティクスに送ることを、ポリシーで禁止しています(個人を特定できる情報(PII)を送信しないようにするためのヒント(別タブで開く))。メールアドレスをキーにしてGA4に送ることはできません。
よく使われるのは、GA4のクライアントIDを、フォームの隠しフィールドでCRMに渡す方法です。
- GA4のクライアントIDは、BigQueryの書き出しでは
user_pseudo_idという列に入ります(User-ID のベスト プラクティス(別タブで開く))。Webページでは、Googleタグのgetコマンドで取り出せます(gtag.js API reference(別タブで開く)) - HubSpotのフォームでは、隠しフィールドに入れた値を、コンタクトのプロパティとして保存できます。2026年10月時点で、すべての製品とプランで使えると案内されています(Set property values with hidden form fields(別タブで開く))
ページからクライアントIDを取り出し、隠しフィールドに入れる部分は、タグの実装が必要です。設定した日より前のフォーム送信にはキーが入らないため、早めに設定しておきます。
プロンプト例
前提を決めておく
記事の評価は、リードの割り当て方や期間の切り方で数字が変わります。前提をファイルにまとめ、Claudeの「プロジェクト」に入れておくと、プロジェクト内のどのチャットでも同じ前提で集計します(What are projects? - Claude Help Center(別タブで開く))。
前提の例
・記事は、URLの/blog/と/case-studies/のページ。URLのパラメータは除いて、ページ単位でまとめる
・リードは、フォーム送信1件。GA4のuser_pseudo_idと、CRMのコンタクトの「GA4クライアントID」プロパティでつなぐ
・リードの割り当ては、「最初に読んだ記事」(そのユーザーの最初の訪問の入口ページ)と「フォーム直前の記事」(フォーム送信より前に最後に見た記事。form_submitの直前のpage_view)の2通りで出す
・受注額は、受注した商談の金額の合計。受注までの日数がたっていない期間のリードは対象にしない
・受注が10件未満の記事は、率を出したうえで「件数が少ない」と書き添える
・メールアドレスや氏名は、集計の結果に出さない
・データで確かめたことと、推測は分けて書く
指示の例
プロンプト例(記事別の貢献)
2025年5〜12月のフォーム送信について、記事ごとに、流入、リード数、商談数、受注数、受注額、1万流入あたりの受注額を表にしてください。リードの割り当ては「最初に読んだ記事」と「フォーム直前の記事」の両方で出し、受注額の順位が大きく変わる記事を挙げてください。
プロンプト例(PVとの比較)
同じ期間のPVの上位20記事と、受注額の上位20記事を並べ、両方に入っている記事と、片方にしか入っていない記事に分けてください。PVは多いが受注額の少ない記事について、どのフォームから、どんな企業規模のリードが来ているかを調べてください。
プロンプト例(アシスト)
受注したリードについて、フォーム送信までに読んでいた記事を数え、受注したリードのうち、その記事を読んでいた割合が高い順に並べてください。受注しなかったリードでの割合もあわせて出してください。
プロンプト例(データの確認)
集計の前に、フォーム送信のうち、CRMのコンタクトとつながった件数と割合を、月別・フォーム別に出してください。つながらなかったフォーム送信が多い月やフォームがあれば挙げてください。
最後のプロンプトのように、集計の前に、フォーム送信とCRMがどれだけつながっているかを確かめておくと、結果をどこまで信頼できるかを判断しやすくなります。
記事の貢献を測るときの注意点
フォームとCRMがつながる割合を確かめる
隠しフィールドのキーは、広告ブロッカーやCookieの同意の状況によって、入らないことがあります。キーの入っていないフォーム送信は、どの記事にも割り当てられません。
つながらなかったフォーム送信が多いと、記事ごとの受注額は実際より小さく出ます。つながった割合を毎月確かめ、割合が急に下がった月は、タグやフォームの変更がなかったかを調べます。
また、端末をまたいだ閲覧や、ブラウザのCookieの保存期間の制限で、最初の訪問が別のユーザーとして記録されることがあります。「最初に読んだ記事」は、実際より後の記事になりやすい点を踏まえて見ます。
個人情報は、集計に必要な分だけ扱う
BigQueryに集めたCRMのデータには、メールアドレスや氏名が含まれます。記事ごとの集計には、これらの項目は必要ありません。
Claudeに参照させるデータセットからは個人情報の列を除くか、集計用のテーブルを別に用意し、Claudeに渡す権限をそこに絞ります。
期間は、受注までの日数がたったところで切る
直近のフォーム送信は、まだ商談や受注に進む途中です。直近の月まで含めると、新しい記事ほど受注額が小さく出ます。
分析例のデータでは、対象のリードが受注するまでの日数は、フォーム送信から中央値32日、最長49日でした。そのため、4月30日時点で受注まで届く日数がたっている12月までのフォーム送信だけを対象にしています。自社の商談で、受注までにかかる日数を先に確かめてから、期間を決めます。
公開して間もない記事は、受注額ではなく、リード数や商談化率で先に評価し、受注額は日数がたってから見直します。
件数の少ない記事は、差を断定しない
BtoBの受注は、記事1本あたりでは年に数件から十数件ということも珍しくありません。分析例のとおり、受注が10件前後の記事どうしでは、数件の違いで順位が入れ替わります。
件数の少ない記事は、期間を延ばすか、テーマの近い記事をまとめて比べます。「リライトする」「書くのをやめる」といった判断は、次の期間でも同じ傾向が続くかを確かめてからにします。
リードと商談の定義を、マーケティングと営業でそろえる
「どのフォーム送信をリードとするか」「どの時点で商談とするか」が部門ごとに違うと、記事の評価が会議のたびに変わります。資料のダウンロードとデモの申し込みを同じリードとして数えるかも、決めておきます。
当社が支援した株式会社ビビッドガーデン様では、GA4やRDSなどに分散していたデータをBigQueryに集め、部門ごとに異なっていたデータの定義を、Dataformで全社共通の基準にそろえました(「エンジニアに頼まずに、誰もが自分でデータを引き出せる状態に(別タブで開く)」)。定義をそろえておくと、部門をまたいでも同じ数字で議論できます。
リードから受注までのどこで商談が落ちているかを見る方法は、「営業の歩留まり分析のやり方(別タブで開く)」で解説しています。
まとめ
- PV・セッション・コンバージョンは、記事の集客力やリードの数を表すが、受注への貢献は分からない。BtoBのオウンドメディアは、記事ごとに商談・受注・受注額まで追って評価する
- リードを記事に割り当てる方法は、「最初に読んだ記事」と「フォーム直前の記事」の2つから始め、アシストは別の指標として並べる
- GA4とCRMのデータをBigQueryに集め、Claudeを接続すれば、記事ごとの受注額を日本語の指示で集計できる。GA4とCRMは、メールアドレスではなく、隠しフィールドで渡したGA4のクライアントIDなどでつなぐ
- フォームとCRMがつながる割合、個人情報の扱い、受注までの日数を踏まえた期間、件数の少ない記事の扱いを先に決め、Claudeに前提として渡す
株式会社INVOXは、データ基盤の構築、データ分析の支援、AIエージェントの開発を行っています。GA4・CRM・広告のデータを統合し、記事や施策ごとの受注への貢献をClaudeで分析できる環境の構築も支援しています。
支援の内容は「マーケティング分析(別タブで開く)」で、支援実績は「毎朝1時間の広告データ取り込みを15〜20分に。10〜15媒体のデータを統合し、分析を効率化する環境を構築(別タブで開く)」で紹介しています。
「オウンドメディアの成果を、PVではなく商談や受注で説明したい」「どの記事が受注につながっているかを把握して、記事の企画に生かしたい」といった課題をお持ちでしたら、お問い合わせください。




