Shopifyの管理画面では、売上や注文数をすぐに確認できます。一方で、「どの商品から買い始めた顧客がリピートしているか」「どの商品の返金が多いか」といった問いには、注文や顧客のデータを書き出して集計し直す必要があります。
ShopifyのデータをClaudeにつなげば、こうした集計を日本語の依頼だけで行えます。
本記事では、ClaudeでShopifyを分析する2つの方法として、Shopify公式のコネクタで直接つなぐ方法と、データをBigQueryに集めてつなぐ方法を取り上げます。分析の例、それぞれの手順、使うときの注意点の順に解説します。
ClaudeでShopifyを分析する2つの方法
2026年10月時点で、ShopifyのデータをClaudeで扱う方法は大きく2つあります。
- 方法1:Shopify公式のコネクタで直接つなぐ:Shopifyが提供する「Shopify connector for Claude」を追加し、Claudeからストアのデータを読み取る
- 方法2:BigQueryに集めてつなぐ:FivetranなどでShopifyのデータをBigQueryに転送し、BigQueryのコネクタ経由でClaudeがSQLを実行する
違いは次のとおりです。
| 方法1:Shopify公式のコネクタ | 方法2:BigQuery連携 | |
|---|---|---|
| 準備 | Claudeからコネクタを追加し、Shopifyの管理画面でアクセスを承認するだけ | Fivetran(などのデータ統合ツール)・BigQuery・Claudeのコネクタの設定が必要 |
| 扱えるデータ | ストアの商品・注文・顧客・在庫・ストアの分析データ | 転送したShopifyのデータ。広告・GA4・モールのデータと組み合わせられる |
| ストアへの書き込み | 承認した範囲で、商品・在庫・コレクション・ディスカウントの作成や編集もできる | できない(読み取りのみ) |
| 向いている分析 | 昨日の注文、商品の売れ行きなど、ストアの状況の確認 | 顧客単位の集計(F2転換率など)、過去との比較、広告やモールとの横断 |
ストアの状況を手早く確認したい場合は方法1、顧客の単位で深く分析したい場合や、広告の費用と合わせて評価したい場合は方法2が向いています。
まず分析の例を紹介し、その後でそれぞれの方法の手順を解説します。
ClaudeでできるShopifyの分析例
ここでは、方法2でBigQueryに集めたShopifyのデータをClaudeで集計した例を紹介します。画面の数値は、Shopifyで自社ECを運営するスキンケアのD2Cブランドを想定した、架空の企業のデモ用のデータです。
新規とリピートの売上の推移を見る
プロンプト例
Shopifyの直近12か月の注文を、新規(顧客の最初の注文)とリピート(2回目以降の注文)に分けて、月別の売上を出してください。売上は商品小計(値引き前・税と送料を除く)とします。
この例では、直近12か月の売上のうち、リピートの注文が24.5%を占めていました。直近3か月では23.8%で、リピートの比率は伸びていません。

Claudeで作成した売上と商品の分析画面(デモ用のデータ)
注意したいのは「新規」の数え方です。一般に、取り込んだデータの期間が短いと、期間の初めには、それ以前から買っていたリピートの顧客が新規に数えられてしまいます。
分析の前に、データがいつから入っているかを確かめておきます。
商品別の売上と返金率を比べる
プロンプト例
商品別に、売上・構成比・注文数と、その商品を含む注文のうち返金のあった注文の割合(返金率)を出してください。全体の返金率より高い商品を挙げてください。
売上が最も大きいのはブライトCセラム(売上の17.1%)でした。返金率は全体で3.9%で、特に高いのはデイリーケア5点セット・バランシングミルク・デイリーUVクリームの4.7%です。
Shopifyの返金は注文の単位で記録されるため、商品別の返金率は「その商品を含む注文のうち、返金のあった注文の割合」として定義しています。
この例の返金には、肌に合わなかったなどの返品のほか、未着・配送遅延・誤注文によるものも含まれます。返金の理由もあわせて集計すれば、商品ページの説明で防げるものか、配送の問題かを切り分けられます。
初回に買った商品別のF2転換率を出す
プロンプト例
初回の注文に含まれていた商品別に、初回購入から90日以内に2回目の注文があった顧客の割合(F2転換率)を出してください。90日を見届けられない、直近90日以内に初めて購入した顧客は除いてください。
対象の新規顧客3,718人のうち、90日以内に2回目の購入に進んだのは20.5%でした。
商品別では、オイルクレンジングから始めた顧客が25.5%と最も高く、売上が最も大きいブライトCセラムから始めた顧客は15.9%と最も低くなりました。

Claudeで作成した初回の商品別のF2転換率(デモ用のデータ)
売上の大きい商品が、リピートにつながっているとは限りません。この例であれば、ブライトCセラムで初回に買った顧客に送る、2回目の購入までの案内を見直すのが次の打ち手の候補です。
ただし、商品によっては対象が数百人のため、数ポイントの差は偶然の範囲のこともあります。F2転換率をLTVの計算につなげる方法は「LTVの計算方法(別タブで開く)」で解説しています。
2回目に進んでいない顧客を、最後の購入からの日数で分けて案内を変える方法は「RFM分析のやり方(別タブで開く)」で解説しています。
定期購入の継続を見るには、アプリのデータも必要
Shopifyで定期購入を販売するには、Shopify Subscriptionsなどの定期購入のアプリを使います(Shopifyのヘルプ(別タブで開く))。
定期購入の継続や解約まで分析するには、注文のデータに加えて、アプリが持つ契約のデータが必要です。
BigQueryに集める場合は、使っているアプリのデータを取り込めるかを確認します。たとえばFivetranには、定期購入のアプリ「Recharge(別タブで開く)」のコネクタがあります。
方法1:Shopify公式のコネクタで直接つなぐ
1つ目は、Shopifyが提供するClaude向けのコネクタ「Shopify connector for Claude(別タブで開く)」を使う方法です。2026年10月時点で、Claudeのコネクタの一覧(ディレクトリ)に、提供元をShopifyとして掲載されています。
コネクタの一覧にあるコネクタは、無料プランを含むすべてのユーザーが利用できます。
TeamプランとEnterpriseプランでは、組織のオーナーがコネクタを有効にする必要があります(Use connectors to extend Claude’s capabilities(別タブで開く))。
公式のコネクタでできること
2026年10月時点のShopifyのヘルプでは、次のように案内されています(Shopify connector for Claude(別タブで開く))。
- ストアの分析:売上・注文・商品・顧客・フルフィルメントについての質問に、ストアの分析データから表やグラフで答える
- 注文と顧客の参照:最近の注文や、注文ごとの明細・配送の状況、顧客の注文回数や購入金額を確認する。注文と顧客のデータは読み取るだけで、変更はしない
- ストアの編集:商品の作成・編集、在庫の調整、コレクションの整理、ディスカウントコードの作成などを行う
一方で、返金、注文のキャンセル、返品の処理、ギフトカードの作成や調整、公開中のテーマの編集、プラン・決済・税・ドメインの設定の変更はできません。
ヘルプでは、Claudeが一般的な知識で答えないよう依頼の中で「Shopify」と明示すること、分析は短く具体的な質問を1つずつすることが勧められています。
公式のコネクタの接続手順
- ClaudeのShopifyのコネクタのページ(別タブで開く)から、コネクタを追加します。Shopifyのヘルプでは、設定にはPCのブラウザを使うよう案内されています
- Shopifyの管理画面に移動するので、コネクタが求めるデータへのアクセスを確認して承認します
- Claudeのチャットで「Shopifyで、昨日の注文の件数と売上を教えてください」のように質問し、ストアのデータが返ってくれば接続は完了です
コネクタが扱える範囲は、承認したアクセスと、操作する人のスタッフ権限の両方で決まります。スタッフに商品の編集の権限がなければ、コネクタからも編集はできません(AIツールへのアクセスの承認(別タブで開く))。
方法2:BigQueryに集めて、広告やモールと合わせて分析する
2つ目は、ShopifyのデータをBigQueryに集め、BigQueryをClaudeのコネクタとして接続する方法です。前述の分析例は、この方法で集計しています。
顧客ごとの注文の履歴を自社のBigQueryに持てるため、F2転換率やLTVのような顧客単位の集計や、過去との比較ができます。広告の費用やGA4、モールの売上のデータも同じBigQueryに集めれば、合わせて分析できます。
複数のモールの売上をまとめて分析する方法は「複数モールの売上分析を一元化する方法(別タブで開く)」で解説しています。
手順1:FivetranでShopifyのデータをBigQueryに転送する
Fivetranは、ShopifyやMeta広告などのデータを、BigQueryへ自動で転送するサービスです。2026年10月時点で、月50万行(MAR)まで使える無料プランがあります(Fivetranの料金(別タブで開く))。
アカウントの作成と、転送先にBigQueryを設定する手順は「Fivetranとは?広告データ統合でできること・料金・始め方(別タブで開く)」で解説しています。
Shopifyのコネクタの設定は、2026年10月時点で次のとおりです(Shopifyのセットアップガイド(別タブで開く))。2025年10月27日以降に作成したFivetranのアカウントでは、認証の方法は「Custom App」だけです。
- Shopifyの開発者向けの画面(Dev Dashboard)でアプリを作成し、セットアップガイドに記載された読み取りのスコープ(
read_orders・read_customers・read_productsなど)を設定して公開(Release)します - 過去の注文も取り込む場合は、インストールの前に、Shopify Partnersのダッシュボードから
read_all_ordersのスコープを申請します。承認を受けたら、アプリのスコープにread_all_ordersを追加します - 配布の方法で「カスタム配布」を選び、対象のストアのドメインを入力して、生成したリンクからアプリをストアにインストールします
- アプリの設定画面で、クライアント IDとクライアント シークレットを控えます
- Fivetranでコネクタを追加し、認証の方法に「Custom App」を選んで、ショップ名(
ショップ名.myshopify.comのショップ名の部分)、クライアント ID、クライアント シークレットを入力します - 初回に取り込む期間(Historical Sync Time Frame)を選び、「Save & Test」を実行します
read_all_orders がない場合、取り込めるのは直近60日分の注文だけです。F2転換率やLTVの分析には過去の注文が欠かせないため、申請はインストールの前に済ませておきます。
承認の前にアプリをインストールしていた場合は、承認後にアプリをアンインストールして入れ直さないと、read_all_orders が有効になりません。
手順2:BigQueryをClaudeのコネクタとして接続する
Claudeのコネクタの一覧から「Google Cloud BigQuery」を追加し、Google Cloudで作成したOAuth クライアントで認証します。
必要な権限と、OAuth クライアントの作り方を含む手順は「ClaudeとBigQueryを連携する方法(別タブで開く)」で解説しています。
接続できたら、最初に「Shopifyのデータが入っているデータセットとテーブルの一覧を教えてください」と質問し、Claudeにデータの構造を把握させてから分析を依頼すると円滑です。
ClaudeでShopifyを分析するときの注意点
書き込みの権限は、分析に必要な範囲に絞る
方法1の公式のコネクタは、承認したアクセスによっては商品・在庫・ディスカウントなどを変更できます。分析が目的であれば、読み取りのアクセスだけを承認するのが確実です。
Shopifyのヘルプでは、アクセスは後から引き上げられますが、引き下げるにはアプリをアンインストールして入れ直す必要があると案内されています。
また、アクセスはShopifyの管理画面からアンインストールすれば、いつでも取り消せます(AIツールへのアクセスの承認(別タブで開く))。
TeamプランやEnterpriseプランでは、組織のオーナーがコネクタの操作ごとに「Always allow」「Needs approval」「Blocked」を設定できます(Use connectors to extend Claude’s capabilities(別タブで開く))。
書き込みの操作をブロックしておけば、誤ってストアを変更することを防げます。
顧客の個人情報をチャットに出さない
Shopifyの顧客のデータには、氏名やメールアドレスなどの個人情報が含まれます。分析では顧客の一覧をそのまま取得せず、件数や割合などの集計した結果を返すよう依頼します。
方法2では、Fivetranの列のハッシュ化(Column hashing)や、テーブル単位の取り込みの除外(Data blocking)で、個人情報をBigQueryに持ち込まない設定もできます(FivetranのShopifyコネクタ(別タブで開く))。
社内の規程で、個人情報を外部のサービスで扱う条件が決まっている場合は、事前に確認します。
集計の定義を決めて、前提として渡す
「売上」は、値引きの前か後か、税や送料を含むか、返金を引くかで変わります。分析例でも、売上は商品小計(値引き前・税と送料を除く)とし、クーポン値引きと返金は別に出しました。
新規とリピートの区別、F2転換率の期間(90日など)、返金率の分母も、決め方で数字が変わります。決めた定義をClaudeの「プロジェクト(別タブで開く)」の指示に書いておくと、どのチャットでも同じ前提で集計でき、管理画面のレポートとの違いも説明しやすくなります。
また、「どのような手順で集計したか説明してください」と依頼すると、使ったテーブルや条件を確認できます。
まとめ
- 2つの方法:Shopify公式のコネクタで直接つなぐ方法と、FivetranでBigQueryに集めてつなぐ方法がある
- 方法1(公式のコネクタ):コネクタを追加して承認するだけで、ストアの分析データや注文・顧客を参照できる。承認の範囲によっては商品や在庫の編集もできる
- 方法2(BigQuery連携):F2転換率やLTVのような顧客単位の分析や、広告・モールのデータとの組み合わせに向いている。過去の注文を取り込むには
read_all_ordersの申請が必要 - 注意点:分析が目的なら読み取りに絞り、個人情報は集計した結果で扱い、売上・新規・F2転換率などの定義を決めてから集計する
ただし、Shopifyのデータだけでは、どの広告やチャネルで獲得した顧客がリピートしているかまでは評価できません。広告・GA4・モールのデータと顧客の単位でつなぐには、データ基盤の設計が必要です。
株式会社INVOXは、データ基盤の構築、データ分析の支援、AIエージェントの開発を行っています。ShopifyなどのECのデータと広告・GA4のデータを統合し、ClaudeやChatGPTで分析できる環境の構築も支援しています。
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