「サイトへの訪問は増えているのに、申し込みが増えない」。こうしたときに、どこで顧客が離れているかを見つける方法が、ファネル分析です。
訪問から申し込み、契約までを段階に分け、段階ごとにどれだけ次に進んでいるかを見ると、改善すべき場所がわかります。
本記事では、ファネル分析のやり方を、段階の決め方と移行率の計算方法を中心に解説します。
そのうえで、デモ用のデータでサイト訪問から有料転換までのファネルを作った例と、流入元で分けて差がつく段階を特定する方法、Claudeで集計する方法と注意点を紹介します。
ファネル分析とは
ファネル分析は、顧客が目的の行動(購入や契約など)に至るまでの道のりを、いくつかの段階に分け、段階ごとに何人が次に進んだかを見る分析です。段階が進むほど人数が減っていく様子が、漏斗(ファネル)の形に似ていることから、こう呼ばれます。
段階の決め方
段階は、顧客が目的の行動に至るまでに、ほぼ必ず通る行動で区切ります。
| 事業の例 | 段階の例 |
|---|---|
| サブスクリプション型のサービス | 訪問 → 商品・機能のページを見る → 料金ページを見る → 無料トライアルを始める → 有料に転換する |
| EC | 訪問 → 商品ページを見る → カートに入れる → 購入手続きに進む → 購入する |
| BtoBのサービス | 訪問 → 資料請求 → 商談 → 提案 → 受注 |
BtoBの商談の段階の分析は、「営業の歩留まり分析のやり方(別タブで開く)」で解説しています。本記事では、サイトの訪問から申し込みまでを中心に扱います。
移行率の計算
段階ごとに、次の2つの割合を計算します。
移行率 = その段階に進んだ数 ÷ 1つ前の段階の数
最初の段階からの割合 = その段階に進んだ数 ÷ 最初の段階の数
移行率が低い段階が、最も多くの顧客が離れている場所です。改善の候補は、まずそこから考えます。
デモ用のデータでファネルを作る
ここからは、架空の動画学習のサブスクリプションサービス「Lumina」のデモ用のデータで、ファネル分析をした例を紹介します。
期間は2026年2〜4月の3か月です。GA4のセッションのデータで、講座のページを見たか、料金ページを見たか、無料トライアルを始めたかを数えました。有料への転換は、請求データで計算した有料転換率(トライアルを始めた人のうち有料に転換した割合)を、トライアルの開始数に掛けて見積もっています。
最も大きく減る段階を見つける

Claudeで作成した、サイト訪問から有料転換までのファネル(デモ用のデータ)
セッション78,357のうち、有料に転換したのは約1,588(見積もり)で、2.03%でした。
段階ごとの移行率を見ると、最も低いのは「講座を見た → 料金ページを見た」の25.5%です。講座を見たセッションの4分の3は、料金ページに進まずに離れています。
一方、料金ページを見たセッションの28.6%はトライアルを始め、トライアルを始めた人の34.2%は有料に転換しています。料金ページまで連れていければ、その先は一定の割合で進む、ということです。
流入元で分けて、差がつく段階を特定する
全体のファネルで改善の候補がわかったら、流入元で分けて、どの段階で差がついているかを見ます。

Claudeで作成した、流入元別の段階ごとの移行率(デモ用のデータ)
流入元による差は、ほぼ「講座 → 料金ページ」の段階で生まれていました。直接の訪問では33%が料金ページに進むのに対し、紹介・外部サイトでは19%、SNS広告では22%、自然検索では24%にとどまります。
「料金ページ → トライアル」(28〜30%)と「トライアル → 有料」(33〜38%)は、流入元による差が小さくなっています。
つまり、SNS広告や自然検索から来た人は、講座には興味を持っても、料金や申し込みの検討まで進んでいません。講座のページで、料金や無料トライアルの案内を目立たせる、講座の内容から申し込みまでの道筋を示す、といった打ち手が考えられます。
逆に、料金ページの改善は、どの流入元にも同じように効くと考えられます。料金ページのボタンの文言をA/Bテストで比べた例は、「A/Bテストの結果の見方(別タブで開く)」で紹介しています。
改善の効果を見積もる
段階ごとの移行率がわかると、改善したときの効果を見積もれます。
例えば、「講座 → 料金ページ」の移行率を25.5%から28%に上げられれば、ほかの段階の移行率が同じなら、有料への転換は約10%増える計算です。どの段階を改善するかを、効果の大きさで比べて決められます。
Claudeでファネル分析をする方法
必要なデータ
- GA4のデータ:セッションやユーザーごとの、各段階の行動(ページの閲覧、イベント)と、流入元・端末
- 申し込み・契約のデータ:トライアルの開始、有料への転換。CRMや決済サービスのデータ
GA4のデータをBigQueryに書き出してClaudeから集計する手順は、「ClaudeでGA4を分析する方法(別タブで開く)」で解説しています。
前提として渡すこと
前提の例
・ファネルの段階は、セッション → 講座のページを見た → 料金ページを見た → トライアルを開始 → 有料に転換
・各段階は、GA4 のイベント(view_course、view_pricing、start_trial)で判定する
・有料への転換は、請求データで、トライアルの期間(14日間)が終わった人だけで数える
・期間は直近3か月
指示の例
プロンプト例
直近3か月について、ファネルの段階ごとの数と、前の段階からの移行率、最初の段階からの割合を表にしてください。移行率が最も低い段階に印を付けてください。
プロンプト例
同じファネルを、流入元別と端末別に分けて、段階ごとの移行率を表にしてください。流入元による差が最も大きい段階を教えてください。
プロンプト例
講座のページから料金ページへの移行率を3ポイント上げた場合に、有料への転換がいくつ増えるかを試算してください。
結果を確かめる
- 段階の順番が守られているか:前の段階を経ずに次の段階に進んだ数(例:料金ページを見ずにトライアルを始めた数)を確かめます。多い場合は、段階の決め方を見直します
- 数が少ない区分:流入元や端末で分けると、区分によっては数が少なくなります。移行率が大きくぶれるため、数を表に並べ、少ない区分の差は断定しないようにします
ファネル分析をするときの注意点
セッション単位か、ユーザー単位かを決める
同じ人が何度も訪問してから申し込む場合、セッション単位で数えると、移行率は低く出ます。検討に時間がかかる商品は、ユーザー単位で、一定の期間内に次の段階に進んだかを数えます。
期間の端に気をつける
無料トライアルから有料への転換のように、次の段階に進むまでに時間がかかる場合、期間の終わりに近い人は、まだ結果が出ていません。結果が出るまでの期間を除いて計算します。
段階の間の移行率だけで判断しない
移行率が低い段階でも、そこに進む人の数が少なければ、改善しても全体への効果は小さくなります。改善の候補は、移行率と数の両方を見て決めます。改善したい段階が決まったら、LPやページの分析に進みます(「CVR改善のためのLP分析のやり方(別タブで開く)」)。
まとめ
ファネル分析は、目的の行動までの道のりを段階に分け、段階ごとの移行率から、顧客が離れている場所を見つける分析です。
- 段階:顧客がほぼ必ず通る行動で区切る
- 見方:移行率が最も低い段階を見つけ、流入元や端末で分けて、差がつく段階を特定する
- 使い方:段階ごとの移行率から、改善したときの効果を見積もり、取り組む順番を決める
今回のデモ用のデータでは、流入元による差が「講座 → 料金ページ」の段階に集中していました。GA4と申し込みのデータがそろっていれば、ファネルの集計から分けて比べるところまでをClaudeに任せられます。




